八神純子の最新曲「TERRA – here we will stay」不安な時代に響く“いま必要な歌”   1月5日は八神純子の誕生日

八神純子「雨の日のひとりごと」ポプコンで優秀曲賞を受賞

八神純子は1958年1月5日生まれ。つまり今日は八神純子さんの誕生日です。改めて、お誕生日おめでとうございます。

3歳でピアノを始めた八神純子は、16歳の時に初めて作ったオリジナル曲がヤマハのポプコンで優秀曲賞を受賞。受賞曲「雨の日のひとりごと」はレコード化されていますが、処女作とは思えないほど完成度の高い1曲です。しかし、非常に厳格な家庭に生まれ育った彼女は10代でのデビューを許されず、本格的なデビューは20歳の誕生日でした。つまり、1月5日は八神純子の誕生日でありデビュー日でもあるめでたい日なのです。

そんなめでたい日に発売されたデビュー曲「思い出は美しすぎて」は、1977年9月から12月までラジオ番組『コッキーポップ』のテーマ曲として取り上げられており、発売前からすでにポプコンファンの間では認知された曲でした。その影響もあり、デビュー曲ながら10万枚を超えるヒットになりました。

突然メロディが舞い降りた「みずいろの雨」

しかし、セカンドシングル「さよならの言葉」のセールスが今ひとつ振るわず、次の曲がヒットしなければ実家の名古屋に帰ろうと思っていた矢先、原宿の歩道橋を歩いていた八神純子の元に突然メロディが舞い降りて来ました。そのメロディがのちに大ヒットになる「みずいろの雨」のサビの部分だったのです。

この曲は発売されるやいなや瞬く間に注目され、約60万枚を売り上げる大ヒット曲になりました。曲の間奏で八神純子が吹くサンバホイッスルがうらやましくて、当時体育の先生の笛を勝手に吹いて叱られたものです(笑)。ちなみに「思い出は美しすぎて」の間奏部分の笛は本当に体操の笛を使ったと、以前八神さん本人から聞いた記憶があります。

その後も「想い出のスクリーン」「ポーラースター」「パープルタウン」「Mr.ブルー」が『ザ・ベストテン』にランクインし、八神純子の歌う美しい姿は、小学校高学年から中学生の多感な少年の心に大きなインパクトを与えたことは言うまでもありません。

近年のシティポップブームで注目「黄昏のBAY CITY」

1983年に発売されたシングル「黄昏のBAY CITY」が近年シティポップ界隈で注目されていることをご存知でしょうか?

2021年には韓国人プロデューサー兼DJのNight Tempoによるリミックスが発表されています。この曲が収録された八神純子の1983年のアルバム『FULL MOON』も非常に価格が高騰していて、現在非常に人気の高い盤として取引されているようです。

近年のシティポップブームで、松原みき、竹内まりや、大貫妙子などが、日本国外のリスナーからも注目されていますが、80年特有の繊細かつゴージャスなサウンドは、40年近く経過した現在でも新たなリスナーには新鮮に響いている証だと思います。

とは言え、あまりレコードが高騰すると、お財布の中身が厳しくなるのでほどほどにお願いしたいですけどね(笑)。

東日本大震災をきっかけに日本での活動を再開、コンサートも精力的に展開

そんな八神純子は、80年代後半にLAに移住してしばらく日本の音楽シーンから離れていましたが、2011年の東日本大震災をきっかけに本格的に日本での活動を再開しました。80年代と全く変わらないキーで歌われるパワフルな歌声は、多くの人々の心を癒し励ましてきたに違いありません。

2011年以降は、東北のボランティア活動を始め、少人数のアコースティック編成のコンサート、バンド形式のホールツアー、後藤次利ら凄腕ミュージシャンをバックに従えた『The Night Flight』、クラシック編成によるシンフォニックコンサートと様々な形で精力的にコンサート活動を継続しています。

2013年には約16年ぶりのオリジナルアルバム『Here I am ~Head to Toe~』を発表。アルバムをひっさげた全国ツアーでは、終演後にファンと直接触れ合うサイン会も行っています。その後、2015年の年末には自身のレーベル “Listen J” を発足。「私の歌を聴いて!」というストレートな願いが込められたレーベルから発売された『There you are』は、決して妥協することなく制作された八神純子本人も認める自信作です。

約6年ぶりのアルバムリリース「TERRA-here we will stay」

発売後もこのアルバムを携え全国各地でコンサート活動を継続してきましたが、2020年からはコロナの影響で数多くのコンサートが中止・延期になっています。

そんな逆境の中でも決して歩みを止めることのなかった八神純子は、2021年9月に約6年ぶりのオリジナルアルバム『TERRA-here we will stay』を発表しています。ラテン語で「大地」という意味を持つ壮大なタイトルは、今の時代にふさわしいテーマかもしれません。

先行配信された「Here We Go!」「恋したかぐや姫」「ずっと見ていて」等が収録された13曲入りのアルバムですが、今のところ配信等されていないようですので、是非CDを買って聴いてみて下さい。

どんなタイプの曲を歌ってもすべて八神純子の色彩に染めてしまうのはさすがという感じです。こんなコロナ禍の不安な時代だからこそ、『TERRA-here we will stay』は “今の世の中に必要な歌” のように響いてくるのです。

カタリベ: 長井英治

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