Be星と中性子星からなる連星系の挙動 流体力学的シミュレーションで把握

【▲Be星(大きな緑の丸)と中性子星(小さな緑の丸)からなる連星系(Credit: Franchini & Martin 2021)】

表面温度が高く質量も大きいB型星の中でも水素の輝線スペクトルを示すものは、特に「Be型星」(または「Be星」、eはemission lineの意味)と呼ばれています。Be星は高速で自転しているため、遠心力によって放出されたガスが恒星の周りに円盤状に分布していると考えられています。

Alessia Franchini 氏(イタリア、ミラノ・ビコッカ大学:University of Milano-Bicocca, Italy)とRebecca Martin 氏(ネバダ大学ラスベガス校:University of Nevada, Las Vegas)はBe星と中性子星からなる連星系を研究しています。

その研究結果によると、Be星は高速で回転しているため、その質量の一部を降着円盤に放出し、そこから中性子星が物質を吸い上げることができます。

Be星-中性子星連星は、軌道周期に1回、あるいは不定期にX線バーストを放出する傾向があり、この不定期バーストはしばしばペアで発生しますが、その理由はまだ解明されていません。

彼らは、流体力学的シミュレーションを用いて、この連星系の挙動を把握しました。それによると、ペアのX線バーストのうち、1回目はBe星から中性子星への質量移動によって起こり、2回目は中性子星の周りに形成された円盤の離心率の変化によって起こる可能性がありますが、その結果を確認するためには、さらに解像度の高いシミュレーションが必要になるとのことです。

【▲Be星(大きな緑の丸)と中性子星(小さな緑の丸)の降着円盤シミュレーション。明るい色はより高密度な物質を示しています。連星が29軌道(上)、33軌道(中)、38軌道(下)を経た後の結果を表示しており、それぞれ左側はx-y平面(連星の軌道平面)、右側はx-z平面になっています。最初の物質移動の後、中性子星の周りに降着円盤が形成され、伸長していく様子がわかります。(Credit:Franchini & Martin 2021)】

Image Credit: Franchini & Martin 2021
Source: American Astronomical Society / 論文
文/吉田哲郎

© 株式会社sorae