痛み止めの使いすぎによる頭痛 国内初の有病率調査を実施 糸魚川総合病院と糸魚川市 市民対象にアンケート 受診や予防、啓発に期待

 糸魚川総合病院脳神経外科と糸魚川市健康増進課の研究チームは、能生国民健康保険診療所、仙台頭痛脳神経クリニックとの共同研究で「痛み止めの使いすぎによる頭痛(薬剤使用過多による頭痛、薬物乱用頭痛)有病率調査」を行った。

 日本では初めての調査。糸魚川市民を対象にアンケートを実施した結果、生産年齢人口(15~64歳)の有病率は2・32%で、50人に1人が痛み止めの使い過ぎで頭痛になっていることが示唆された。

 調査は、新型コロナウイルスワクチン接種後の待機時間を利用し糸魚川総合病院、能生国民健康保険診療所で実施した。有病率は諸外国の報告とほぼ同じ割合だった。

 同調査によると、日本では片頭痛患者の約7割は医療機関を受診せず、市販の痛み止めを使ったり我慢している現状。さらに「頭痛になったら困るから、痛くないけどあらかじめ飲んでおこう」と頻繁に痛み止めを使用すると、脳が痛みに敏感になり、悪化する。目安として月10回以上痛み止めを飲んでいる場合、使い過ぎによる頭痛になる傾向がある。

 調査をまとめた同病院脳神経外科の勝木将人医長(30)は「日本では片頭痛に対する社会の認識はまだ乏しく、片頭痛による経済的損失は重大」と指摘。「頭痛は適切な治療で生活への支障を最小限にすることが可能な疾患。今回をきっかけに片頭痛への理解、医療機関への適切な受診、痛み止めの使い過ぎによる頭痛の予防、啓発が広まれば」と期待した。

調査をまとめた糸魚川総合病院脳神経外科の勝木将人医長

専門誌のホームページで公開中

 同調査は19日から、神経科学の学術専門誌「Neurological Sciences」のホームページ(https://www.springer.com/journal/10072)で公開されている。

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