近藤芳正「ナイフ」 2月13日にYCAMで上演 重松清の短編を1人芝居

 俳優・近藤芳正が、重松清の短編小説「ナイフ」の一人芝居での舞台化に挑んだ「近藤芳正 Solo Work『ナイフ』」が、2月13日(日)午後2時から、YCAM(山口情報芸術センター、山口市中園町7)で上演される。コロナ禍により一度は中止された舞台の“リベンジ公演”で、茨城、愛知、東京、兵庫での上演に続く最終公演となる。

▲「ナイフ」の一場面(提供:水戸芸術館ACM劇場 撮影:田中亜紀)

 「ナイフ」は、重松清による短編集で、1997年に刊行。1999年に第14回坪田譲治文学賞を受賞した。表題作の「ナイフ」は、息子が学校でいじめられている事実を知ったことをきっかけとする、傷ついた親子の愛と再生の物語。山口で中学・高校時代を過ごした重松(山口高校を1981年に卒業)が、メジャー作家の仲間入りを果たした作品としても有名だ。

 近藤は、父親や中学生の息子、妻など、性別や年齢の異なるすべての登場人物を、息遣いや筋肉の動かし方で演じ分ける。そのために、振付家・ダンサーの大石めぐみをフィジカルトレーニングコーチとして招きもした。脚本・演出は、Netflixオリジナルドラマ「全裸監督」の脚本でも話題になった劇団□字(ろじ)ック主宰の山田佳奈。

 重松は「一人芝居?『ナイフ』を? 最初はひたすら戸惑いました。親に教師に中学生まで登場する(しかも重くて暗い)あの小説を、還暦を過ぎた近藤さんが一人で演じるわけ…? でも、僕は演劇人としての近藤さんに絶大なる信頼を置いています。だから、絶対に、これ、スゴいものになる。期待しています」とメッセージを寄せている。

▲「ナイフ」の一場面(提供:水戸芸術館ACM劇場 撮影:田中亜紀)

 近藤は1961年生まれ。1976年NHKテレビ「中学生日記」でデビューし、その後劇団青年座研究所や「劇団七曜日」に所属。1991年の映画「12人の優しい日本人」出演以降、三谷幸喜が主宰する東京サンシャインボーイズへの客演が続き、「THE 有頂天ホテル」「ザ・マジックアワー」など三谷作品に数多く出演している。「王様のレストラン」「踊る大捜査線」「GTO」などドラマ出演も多数で、放送中のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」ではジャズ喫茶の支配人を演じた。さらに、舞台プロデュースや、後進の指導にも力を注いでいる。

 主催する山口文化振興財団の土居美智子さんは、愛知公演を観賞した感想を「熱量が高く、70分間途切れることのない一人芝居に吸い込まれた」といい、「名バイプレーヤーとしてどんな役にも変幻自在に溶け込んできた、近藤芳正の演技力・表現力が光るひとり芝居は必見」と観賞を呼びかけている。

 前売り券(全席指定)は、一般3000円、25歳以下1500円、高校生以下500円で、山口文化振興財団チケットインフォメーション(YCAM内、https://www.ycfcp.or.jp)やチケットぴあ(Pコード:509-592)、ローソンチケット(Lコード:62788)で購入できる。当日券は、一律3500円。

© 株式会社サンデー山口