レイズとマイナー契約の28歳右腕・ヘス がん治療を受けて回復中

昨年10月、メジャー通算62試合に登板して6勝を挙げた実績を持つ右腕デービッド・ヘス(28歳)は、医師によって胸部にがん性の胚細胞腫瘍が発見され、化学療法を受ける予定であることを公表した。それから3カ月半が経過し、ヘスは順調に回復している。昨年11月にレイズと再契約(マイナー契約)を結んでおり、スプリング・トレーニングにも参加できる予定だ。ヘスによると、レイズがマイナー契約を与えてくれたことによって、安心して治療を受けることができたという。

昨シーズンが終了して数日後、ヘスはランニングに出かけた。ところが、いつも以上に息が切れる。ヘスはこれを新型コロナウイルスのせいだと考え、「もしかしたら知らないうちに感染して発症し、それがこのような影響を与えているのかもしれない」と思った。

翌朝、ヘスはシャワーを浴びているときに血を吐いた。妻のデビンはパニックになり、家族も心配した。緊急治療室で一連の検査を受けた結果、腫瘍が心臓と肺を圧迫していることが判明。医師から「この腫瘍が2年くらい前から、あるいはもっと前から成長していたと思われる」と告げられた。

「死んでいたかもしれない、と言われたよ」とヘス。「心臓と肺が圧迫され、血流が本来の形で心臓に行くのを妨げ、気管を塞いでしまっていたんだ。本来の10%くらいしか機能していないような状態だったんだよ」と語ったが、すでにキャンプに向けた身体づくりを再開しており、「思っていたよりも順調だ」と手応えを感じている。

ヘスにとって幸運だったのは、このような状況のなかで新たな仕事を探す必要がなかったことだ。昨年7月にレイズからマーリンズへトレードされ、翌月にマーリンズから放出されてマイナー契約でレイズに復帰。シーズン終了後にFAとなったが、11月にレイズとマイナー契約を結ぶことが決まった。ヘスが「信じられないくらいに素晴らしいチームだ」と語ったように、レイズが様々な面でサポートしてくれたという。

妻や家族、友人やチームメイト、コーチ、ファンなど、手を差し伸べてくれた多くの人々への感謝を絶やさないヘス。「レイズがグラウンドに戻る機会を与えてくれたことは、信じられないほどの安心感だった。僕だけでなく、妻や家族もストレスの多い時期を乗り越えることができた」とチームへの感謝を口にした。

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