【新型コロナ】大阪府「医療非常事態宣言」発出 病床使用率103%

 大阪府の吉村知事は8日、新型コロナウイルス「オミクロン株」の感染拡大による医療提供体制のひっ迫を受け、「医療非常事態宣言」を発出すると明らかにした。すでに軽症・中等症患者用の病床使用率が100%を越えており、今後そのなかから重症者が一定程度移行することが想定されるため、医療機関に対し病床の確保を求める方針。

一般医療の一部制限を医療機関に要請へ

 現在の新変異株「オミクロン株」の感染爆発により、大阪府でも新規感染者数が連日1万人を越える事態となっている。その影響で7日には軽症・中等症患者用の病床使用率が103.5%となり、ついに受け入れのキャパシティを越えた。また、重症者の数も7日時点で136人(病床使用率25.7%)と増加傾向が止まず、そのうちの7割が70歳以上の高齢者となっており、事態の深刻さは増している。

 このため大阪府は8日、医療提供体制を維持するため「医療非常事態宣言」を発出する方針を決めた。同時に医療機関に対し、重症病床の確保計画を「フェーズ4」に移行するよう要請する。「フェーズ4」は新型コロナの診療体制を確保するため、一般医療のうち不急の入院・手術を医師の判断で延期することを求めるもので、事実上の一般医療の制限となる。

 また同時に、すでにキャパシティを越えている軽症・中等症患者用の病床を機動的に運用するため、9日より転退院サポートセンターに「宿泊転送班」を設置し、病状が安定している入院患者を府が別途用意した「診療型宿泊療養施設」に移送する取り組みを始める。「診療型宿泊療養施設」は医療従事者が常駐するなど医療機能を強化した療養施設で、府内に3000室準備したという。

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