第49回衆議院議員総選挙(以下、衆院選)が2021年10月31日に実施されました。
その後も様々な出来事が起きており、衆院選についての記憶が薄れてきたという人もいるかもしれません。
この記事では、2021年に行われた第49回衆議院議員総選挙について振り返ります。
この記事を読むだけで、衆院選2021の全体像を知ることができます。
どのような特徴の選挙だったのか、結果はどうだったのか……この記事を読みながら思い出してみましょう。
選挙日程:10月19日公示、10月31日投開票
2021年10月14日に岸田文雄内閣が衆議院を解散。それを受け、衆院選が行われることになりました。
日程は10月19日公示、10月31日投開票。衆議院の解散から投開票までが17日間と、戦後最短でした。
衆議院議員の任期満了日が10月21日だったため、選挙は任期満了を超えて行われることになりました。これは現行の日本国憲法下でははじめてのことでした。
衆院選では、景気や雇用、社会保障と並び、新型コロナウイルスへの対応が大きく問われることになりました。
選挙結果:与党293議席、野党172議席
開票結果は与党293議席、野党172議席。
自民党は議席数を減らしたものの、安定的な国政運営のための目安となる「絶対安定多数」を単独で獲得しました。
自民・公明を合わせても、憲法改正の発議に必要な3分の2(310議席)には届きませんでしたが、改選前と比べ議席数の減少はわずかでした。
野党では、第一党の立憲民主党が議席を減らしました。また、日本維新の会は改選前の4倍以上の議席を獲得しました。
各政党の獲得議席数は以下のようになりました。
- 自民 261(-15)
- 公明 32(+3)
- 立民 96(-14)
- 共産 10(-2)
- 維新 41(+31)
- 国民 11(+3)
- れいわ 3(+2)
- 社民 1(0)
- NHK党 0(-1)
- 無所属 10(-3)
小選挙区の結果
小選挙区の結果は以下のようになりました。
比例代表の結果
比例代表の結果はこちらです。
衆院選2021で起こったこと
各社の情勢調査・予想が相次いで外れる!?
2021年の衆院選では、新聞社やテレビ局が発表した「情勢調査」が相次いで外れました。情勢調査とは、出口調査や意識調査などのデータを分析し、政党別の議席獲得数などを予想して発表するものです。
当初各社が発表した情勢調査では、「自民党や与党で過半数を取れるかどうか……」といった見方が強く、自民党がここまで多くの議席を獲得するとは思われていませんでした。
予測と実際の選挙結果に大きな差が開いた背景として、接戦区が多かったことがあげられます。また、直前まで投票先を確定させていなかった人たちの動向を、各社が適切に見極めることが困難であったことも一因でしょう。
ここまで極端に情勢調査が外れることは珍しいケースであると言えます。今後のメディアによる情勢調査についても課題が残る衆院選となりました。
無党派層のような直前まで態度を確定させない傾向が強い層の動きを的確に見極めたり、調査方法を変更したりすることも求められるでしょうし、予測方法そのものを再検討する必要があるのかもしれません。
情勢調査については、YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」でも取り扱いました。ぜひこちらもご覧ください。
自民は議席を減らすも健闘、維新は躍進
2021年の衆院選では、自民党の健闘が特徴的でした。
選挙ドットコムが10月中に2回行った意識調査によると、2021年10月に発足した岸田内閣を「強く支持する」「どちらかといえば支持する」と答えた割合は約31%。
新内閣発足直後としては低いと言える数字でした。
選挙前の予測では「自民党が議席を大きく減らすのでは?」といった声も多く上がっていましたが、結果は意外なことに。
自民党は小選挙区では議席数を減らしたものの、比例では改選前よりも多くの議席を獲得しました。
実際にはそれほど議席数を減らすことなく、単独で絶対安定多数を獲得する結果となりました。
一方、野党で躍進したのは日本維新の会。改選前の4倍以上となる議席を獲得しました。選挙ドットコムでは2021年10月16~17日に政党支持率調査を実施。その結果がこちらです。
ネット調査での結果を見ると、日本維新の会の支持率は、立憲民主党と並んでいたのがわかります。日本維新の会の支持率上昇は、その後の世論調査の結果からも見受けられます。
また、2021年の衆院選でも、立憲民主党や共産党が中心となり「野党共闘」を掲げ、多くの小選挙区で候補者を一本化しました。
その結果、立憲民主党は小選挙区で議席を増やすことになりました。野党共闘の成果がある程度みられたといえるでしょう。
一方、比例区では議席数を減らしたため、立憲民主党の全体的な議席数はやや減少という結果になりました。
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「投票マッチング」をはじめ、ボートマッチが流行
2021年の衆院選では、選挙ドットコム初となるボートマッチサービス「投票マッチング」をリリース。
リリース翌日にはTwitterトレンド1位を獲得し、選挙当日の10月31日までに約350万回利用されました。
ボートマッチとは、投票を意味する「vote」と一致を意味する「match」を組み合わせた言葉。質問に答えていくと、自分の考えに合う政党や候補者がわかるというツールです。
元々オランダで誕生したツールですが、日本でもJAPAN CHOICEやYahoo!などからサービスが提供されています。
気軽な気持ちでトライできるので、「選挙のために何をしたらよいのかわからない……」「自分の考えに合う政党をざっくりと知りたい!」という人にはとくにオススメです。
衆院選2021のまとめ
【衆院選2021の背景】
- 任期満了超えで実施された選挙
【衆院選2021の結果】
- 与党が絶対安定多数となる293議席を獲得
- 立憲民主党は議席数を減らすも、野党第一党を維持
- 日本維新の会の議席数が大幅な増加
【衆院選2021をとりまく環境の変化】
- 情勢調査が大はずれ
- ボートマッチが流行
2022年夏には参議院議員通常選挙(以下、参院選)が控えています。参院選ではどのようなできごとがあるのでしょうか。
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(執筆協力:Ricca)