得票率アップで殿堂入りに期待する剛腕・ワグナー 「僕は多数派だ」

アストロズを中心に球界有数のクローザーとして活躍した剛腕ビリー・ワグナーは、今回のアメリカ野球殿堂入り投票が7度目のチャレンジだった。最初の4度はいずれも得票率が10%以上20%未満にとどまったが、5度目のチャレンジとなった2020年に31.7%へ大幅アップすると、前回は46.4%、そして今回は51.0%と着実に得票率を伸ばしている。「僕は今、多数派だ。半分以上の有権者が殿堂入りすべきと考えてくれている。いい方向に傾いていると思うよ」と手応えを感じているようだ。

現在50歳のワグナーは16年間のメジャー生活で通算853試合に登板して903イニングを投げ、47勝40敗422セーブ、防御率2.31、1196奪三振を記録。ブレーブスでプレーした現役最終年(2010年)は71試合に登板して69回1/3を投げ、7勝2敗37セーブ、防御率1.43、104奪三振の好成績で自身7度目のオールスター・ゲーム選出を果たしたが、余力を残してユニフォームを脱いだ。防御率が3点以上になったのは肘を故障して28試合にしか登板できなかった2000年(防御率6.18)の1度だけだった。

歴代6位のセーブ数(左腕では2位)を記録し、奪三振率11.92と被打率.187は通算900イニング以上の投手のなかでは歴代トップ。メジャー史上有数のクローザーだったことは間違いないが、救援投手の殿堂入りのハードルは非常に高く、これまでにグース・ゴセージ、ホイト・ウィルヘルム、ロリー・フィンガース、ブルース・スーター、デニス・エカーズリー、リー・スミス、トレバー・ホフマン、そしてマリアーノ・リベラの8人しか殿堂入りを果たしていない。

「イニングの少なさについていろいろ言っている人がたくさんいることは知っている。でも、それ以上に支配的なピッチングをしたと思うよ」と語るワグナー。心のなかではすでに殿堂入りする日に備えてスピーチの準備も始めているという。

元同僚のジェフ・バグウェルは「ワグナーと対戦経験のある打者に話を聞いてみると、みんなワグナーとは対戦したくなかったと言うんだ」とワグナーが相手打者に与えていた威圧感を強調。同じく元同僚のクレイグ・ビジオは「ビリーは殿堂入りに向けて大きく前進している。素晴らしいキャリアを過ごした選手だ。素晴らしい男だし、素晴らしいチームメイトだった。殿堂入りを祈っているよ」とワグナーへのエールを口にした。

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