【長崎県知事選挙】長崎県知事選の投票に行くときに知っておきたい! これからの長崎県に関する5つの数字

長崎県知事選挙は2月20日に投開票日を迎えます。

新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置が適用される中で、各候補者が屋内での集会の開催を控える方針であることなど、従来に比べ選挙の情報を得にくい状況となっています。

長崎県政を考えるきっかけとなるべく、5つの数字で長崎県を取り巻く状況を紹介します。

「129.3万人」→長崎県の人口は毎年1万人程度減少

県の統計によると、長崎県の人口は129.3万人(2022年1月)です。

県の人口は1985年に約160万人を記録して以来減少を続けており、近年は毎年約1万人の減少が続いています。

また、少子高齢化も進んでいます。

県民の内、65歳以上の方が占める割合は2000年には5人に1人ほど(20.8%)でしたが、2021年には3人に1人(33.9%)となっています。今後も県内の高齢化は進み、65歳以上の方は2025年に最多となることが推計されています。

一方で少子化も進んでいます。14歳以下人口は2000年には県民の16%ほどを占めていましたが、2021年には12.6%まで低下しています。

「1,134人」→2023年に不足が見込まれている介護人材数

高齢化の進行に伴って懸念されるのが介護環境です。

厚生労働省の調査(介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)によると、2019年度に長崎県内には2.7万人の介護職員の方がいましたが、2023年には2.9万人の需要が見込まれています。

介護職員の増員は進められていく見込みですが、2023年に見込まれている職員数は2.8万人と1,134人程度の不足が予想されています。

なお、同様の集計は3年前にも実施されています。2つの推計を比較してみると、2025年における介護人材の不足数は、3年前の推計では3,180人、最新の推計では1,951人となる見込みです。

なお、長崎県内では75歳以上の方の割合が急増しています。2015年には75歳以上の方は県民の15.6%ほどですが、2025年20.0%、2035年24.2と13年後には県民の4人に1人が75歳以上となります。

また、県民に占める割合ではなく人数で見てみると、75歳以上の方は2035年に最多となる見込みです。

全国で少子高齢化の傾向が強まり介護人材の需要が高まる中、長崎県ではどのようにして安心して老後を過ごせる環境作りやその担い手育成が進められていくことになるのでしょうか。

「5,000人」→毎年県外に転出超過となっている10代後半~20代前半の人数

高齢化と共に際立っているのが若年層の県外への移動です。

住民基本台帳を基にした集計では、10代後半から20代前半までの年代で毎年5,000人弱が県外に流出しています。このことの背景には進学や就職をきっかけにした転居等があるものと考えられています。

県がまとめた資料では、県内の高校卒業者の4割弱が進学のために、1割強が就職のために県外に転出しているとされています。同様に、県内の大学卒業者の5割強が就職のために県外に転出しています。

図表1_年齢階級別純移動数(長崎県)

一方、県内の労働市場を見てみると、有効求人倍率は1.06(2021年平均)と前年に比べて0.08ポイントほど改善しています。新型コロナウイルスが流行する前の水準(2018年1.25、2019年1.22)までは回復していませんが一番ひどい状況からは回復基調にあることが窺えます。

なお、年間の平均値ついて4年刻みで確認をしてみると、2013年0.73→2017年1.18→2021年1.06と推移しています。

少子高齢化の進展により、今後、よりはっきりした形で働き手不足が顕在化してくることも見込まれます。そのような中で、どのようにして必要な人材を確保していこうとしているのか、各候補者の見解が注目されます。

「0人と17人」→県内の保育所と放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童数

長崎県内の出生数は年々減少しており、2020年(9,257人)は2000年(14,098人)と比較すると65.7%、およそ2/3の規模となっています。

同じ期間に全国では出生数が70.6%まで減少していますが、長崎県はそれを下回っており、全国よりも少子化が進んでいることが確認できます。

一方で、長崎県の合計特殊出生率は全国平均を上回る状況が続いています。全国よりも少子化が進んでいることの背景には若者世代の女性の流出があることが窺われる状況です。

県内の子どもの数が減少する中、保育所待機児童については前年に続いて0人(2021年4月)となっています。4年刻みで推移を見てみると2013年は97人、2017年は190人の保育所待機児童がそれぞれ報告されていました。

また、「小1の壁」と指摘されることのある学童保育(放課後児童クラブ)の待機児童については、2021年に17人(前年比22人減)が報告されています。

就職や転職をきっかけに働き手世代が県外から集まってくる、戻ってくるようにするためにはどのような環境整備が求められるでしょうか。

「48.2%」→2/12時点での新型コロナウイルス感染症の確保病床使用率

県によると、長崎県内での新型コロナウイルス感染症の感染者数は延べ20,653人(2月13日時点)、死亡者数は89人(2月12日時点)となっています。

新規感染者数は今年に入って急増しており、1月1日から2月12日までの間に14,533人の方の感染が報告されています。

また、医療提供体制への負荷も高まっています。

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況等及び入院患者受入病床数等に関する調査結果」では、2月9日時点で新型コロナウイルス感染症に対応するために確保された病床509床のうち、46%にあたる233床が使用されていることが報告されています。病床使用率は1月に入ってから急増しており、3%(1月5日)→30%(1月19日)→40%(2月2日)と推移しています。

新型コロナウイルス感染症への対策によって県内の医療環境に負荷がかかった結果、懸念されるのがそれ以外の医療行為への影響です。

元々、長崎県では救急搬送について、通報から医師に引き継がれるまでの時間が増加する傾向にありました。一番新しい統計は新型コロナウイルス感染症の影響が生じる前の2019年になりますが、同年の所要時間は平均39.6分と、全国平均(39.5分)と同等の水準となっています。過去と比較してみると、2011年35.4分(全国平均38.4分)、2015年38.0分(全国平均39.4分)と全国平均に比べて増加傾向にあることがわかります。この状況に、新型コロナウイルス感染症が望ましくない影響を与えていることも想定されます。

今後、高齢者人口の増加が見込まれる中で、県内の医療環境整備も注目される争点となります。

なお、本稿では言及していませんが、社会経済活動に関連するトピックとしては、カジノを含んだ特定複合館施設(IR)の誘致や西九州新幹線の開業などの大規模な取組みも予定されています。また、諫早湾干拓訴訟や石木ダム問題などの長年の課題もあります。

依然として新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、医療や介護環境といった暮らしの安全・安心と社会経済活動の両立をどのように図っていくことになるのか、選挙を通じた県民の選択が注目されます。

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