幕末・明治に欧米を魅了、日本ブーム起した逸品 大和でコレクション展開催

芝山細工の魅力を力説する金子さん=大和市つる舞の里歴史資料館

 幕末・明治期の貴重な輸出工芸品を集めた企画展が、大和市つる舞の里歴史資料館(神奈川県大和市つきみ野7丁目)で開かれている。著名な収集家により海外から里帰りした逸品で、欧米の貴族を魅了した伝統の技を紹介している。3月21日まで、入場無料。

 展示品は、市内在住で市文化財保護審議会会長などを務める金子皓彦さん(80)が半世紀にわたって海外で収集した「金子コレクション」から厳選した64点。市の要請に応えて約10年ぶりに開催が実現した。

 今回は、欧米の富裕層向けに、当時の輸出拠点だった横浜港周辺で制作された漆器や陶磁器、金属器など。作品はどれも緻密で優雅、欧米人好みの図柄を施しており、「ジャポニスム(日本趣味)」と呼ばれた日本ブームを呼び起こし、西欧を中心に海外で人気を博したという。

 展示の中で特に珍しいのが横浜で作られた芝山細工の飾り棚。高さ約2メートルの棚の扉の部分に貝や象牙で鮮やかな花鳥や人形を埋め込む精緻な装飾が見られる。1859年に開港した横浜に来日した外国人が土産として買い求め、海外に紹介された。こうした工芸品は外貨獲得のため、パリやウィーンで開催された万国博覧会にも出品され、輸出産業の発展につながった。

 金子さんは「西欧の宮殿のロビーに置かれた状況を想像しながら鑑賞してほしい。海外で見つけて興味を持った。当時の国内技術が結集、進化したものといえる」と話している。

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