第30回小川未明文学賞 大賞に島村さん(長崎県) 応募総数553編

 第30回小川未明文学賞の大賞が長崎県の童話作家、島村木綿子さん(60)の『カステラアパートのざらめさん』に決まった。上越市の中川幹太市長が21日に同文学賞委員会(宮川健郎会長)から報告を受けた。優秀賞は茨城県の中村真里子さん(66)の『光をつなぐ』が受賞した。

オンラインで宮川会長から未明文学賞受賞作品の報告を受ける中川市長(右)

 同賞は地元出身の児童文学作家、小川未明の文学精神を継承する作品輩出を目指し、同市と同文学賞委員会が公募展として実施している。今回は昨年より多い553編の応募が全国からあり、1次、2次選考を経て15日の最終選考で決定した。

 大賞受賞作は小学3年生の女の子が主人公。拾った子猫と母と一緒に暮らすためカステラのような外観のアパートに引っ越し、管理人の「ざらめさん」の周りで起こる不思議な出来事を体験する。島村さんは「読んだ後に、自分を取り巻く世界が広がったと感じてもらえればうれしい」とコメントしている。宮川会長は「伝統的なものと新しいものがうまくバランスして、独特な世界が楽しく展開されている」と評価した。

第30回小川未明文学賞で大賞を受賞した島村木綿子さん(提供写真)

 受賞作は11月ごろに学研プラスから単行本として刊行される。受賞の報告に合わせ、同委員会から前回の大賞を受賞した、かみやとしこさんの『屋根に上る』75冊が同市教育委員会に寄贈された。今後、市内の小学校や図書館などに配置される。

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