「とん平のヘイ・ユウ・ブルース/左とん平」時代の空気感と一緒にパッケージされた無二のグルーヴ

30年前の松崎の思い出の1枚。「TRIO」のロゴも懐かしい!

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J-popやフォーク、ニューミュージックから歌謡曲まで、'70~'90年代を中心に30曲前後をフルコーラスでお届けするSTVラジオ『MUSIC★J』(RCCラジオ同時ネット)。パーソナリティは、ポプコン出身のシンガーソングライターで、"選曲家"の松崎真人です。13曲目に、リスナーのリクエストで、1995年に某ウイスキーのCMソングに使われていた曲をおかけしました。(文中敬称略)

M13「アキラのジーンときちゃうぜ/小林旭with東京スカパラダイスオーケストラ」

松崎:この曲は、僕は実はCMソングの部分しか知らなかったんです。フルコーラスで聴いたら、びっくりしましたね。恐らく、ジェームス・ブラウンの(バックバンドの)「The J.B.'s」をイメージして作ってると思うんですけど、作曲は誰だと思います?井上大輔ですよ。やっぱり、分かってるねぇって。日本の歌謡と洋楽の美味しいところと両方を分かって曲を書いて、演奏は「スカ・パラ」に任せているあたりが、素晴らしいクリエイティブですよね。

松崎:この”音頭取り”がいたはずなんですけど、何たって「サントリー・ホワイト」ですから。もう、1995年はクリエイティブだらけでしょう。この組み合わせを考えただけでも勝利ですよね。少し1枚、膜を張ったような音質なんですけど、それを含めて「いい味、出してるな」って感じで僕は聴きました。ノリノリです。

1枚のシングル曲のA面・B面の両方を聴いて、その背景や事情をトークする「ところでB面なんですけど」。この日は、パーソナリティの松崎自身が「B面曲にツボる」原体験となった1枚を紹介します。

松崎:私が「Birthday Suit」として『アタック・ヤング』(STVラジオのかつての深夜の人気番組)をやっていた時に、たまたま「左とんぺいの『ヘイ・ユー・ブルース』をかけたい」って佐木伸誘が言い出して、レコード室からアナログレコードを持って来てもらって、聴いたら「ああ、カッコいいね」って話にはなったんです。僕ももちろん『ヘイ・ユー・ブルース』は知ってましたから。

松崎:で「せっかくレコード出してきたしさ、B面も聴こうよ」ってことで、B面も放送を準備している段階で聴いたんですね。その時に、ツボりまして。A面も確かに大名曲だけども、このB面の世界が、ハッキリ言って”ツボって”ですね。これ、もしかしたら放送が続けられないんじゃないかってくらい笑いが止まらなくなったんです。こんなことが出来るエンターテイナーって、なかなかもう現れないんじゃないかと思うので、A面もB面も「役者の歌」の真骨頂だと思います。

松崎:CDも出ているんですが、あの時と同じだと思いますが、アナログ・シングルレコードでお掛けします。

M16「とん平のヘイ・ユウ・ブルース/左とん平」

松崎:20数年前か、いや30年前か。「アタック・ヤング」で聴いた時は、アレンジが深町純とか、そういうディテールにはあまり気づかなかったんですが、深町純は日本のJAZZの大編曲家です。ちゃんと各プレーヤーが誰かは突き止めていないんですが、非常にこなれた演奏です。その上で自由に歌う左とん平、素晴らしいですね。

松崎:プロデュースは、ミッキー・カーチスがやっています。アレンジの深町純とプロデューサーは別、ということです。ミッキー・カーチスは、かまやつひろし等と並んで、日本が戦争から立ち直っていく過程で、洋楽をもう一度、日本に紹介していく時の立役者のひとりです。と言うことで、B面を聴いてもらいましょう。

M17「東京っていい街だな/左とん平」

松崎:やはり"レア・グルーヴ"って感じがしますね、アナログの音源だと。こちらの曲は、村岡健という方が作曲にクレジットされていて、村岡はサキソフォン・プレーヤーなので、ほとんどコード進行があるだけで、バックで弾いている村岡のサックスがほぼメロディのようなものだとの解釈なのかも知れません。

松崎:いろんな方がカバーしてるんですけど、申し訳ないが、このオリジナル・バージョンは超えられないんですよ。もう、時代の空気感と一緒にパッケージされたものなので、現代風のバックキングに換骨奪胎したからイケるか、とか、歌詞をいま風にちょっと直したからイケるか、というモノでもないんです。やはり、希代のエンターテイナーと言われる人、なかなかこう言うことをやれる人って、現れて来ないですよね。単純に歌が上手いとか、芝居が上手いのとは、また違う次元でございまして。(左とん平は)本当のコメディアンであって、エンターテイナーであたっと思いますね。

<編集後記>
「東京っていい街だな/左とん平」 テレビドラマ(特に久世光彦作品)ではコメディ・リリーフとして欠かせない俳優であったが、この曲でもそのコメディアンとしての資質が遺憾なく発揮されている。深町純編曲で、プロデューサーはミッキー・カーチス。フィリー・ソウル風の流麗なバッキングを奏でているのは村上ポンタ秀一ら腕利き集団。これぞ大人の遊び。今では左とん平にジョン・ベルーシを重ねてみたりする。(松崎 真人)

2月22日のプレイリスト~”ネコの日”ソングは、MJらしく谷山浩子

M01「二重唱/岩崎宏美」
M02「私鉄沿線/野口五郎」
M03「歩いて帰ろう/斉藤和義」
M04「元気を出して/竹内まりや」
M05「ネコ、ニャンニャンニャン/あのねのね」
M06「星空の二人/ザ・ジャガーズ」
M07「愛を探して/ザ・カーナビーツ」
M08「ケンとメリー 〜愛と風のように〜/BUZZ」
M09「あの頃のまま/ブレッド&バター」
M10「やさしさとして想い出として/ふきのとう」

M11「タイガー&ドラゴン/クレイジーケンバンド」
M12「愛して/和田アキ子」
M13「アキラのジーンときちゃうぜ/小林旭with東京スカパラダイスオーケストラ」
M14「スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)/KUWATA BAND」
M15「インディビジュアリスト/佐野元春」
M16「とん平のヘイ・ユウ・ブルース/左とん平」
M17「東京っていい街だな/左とん平」
M18「I Still Haven’t Found What I’m Looking For(終わりなき旅)/U2」
M19「終わりなき旅/Mr.Children」

M20「Angel Night〜天使のいる場所〜/PSY・S」
M21「内心、Thank You/THE 東南西北」
M22「顔ドン/眉村ちあき」
M23「昨日はもう/石川セリ」
M24「Flight/石川セリ」
M25「気まぐれ/石川セリ」
M26「MORE/EARTHSHAKER」
M27「天使について/Birthday Suit」
M28「ねこの森には帰れない/谷山浩子」

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週 火~金 19:00~22:00) ★RCCラジオ同時ネット

MUSIC★J

放送局:STVラジオ 他1局ネット

放送日時:毎週火曜~金曜 19時00分~22時00分
※放送局によって日時が異なる場合があります。

出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター、選曲家。北海道札幌市出身。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活動中。

番組ホームページ

★リクエストメール:mj@stv.jp
★twitterハッシュタグ:#musicj
70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。J-popの源流を築いた往年の名曲を毎日30曲前後も紹介するパワー・プログラム。いまの10代~20代にも聴いて欲しい、日本の音楽がわかる番組!
パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。
☆広島・RCCラジオでも同時生放送(~21:50)

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