【新型コロナ】神奈川県独自の「自主療養」制度 成果と課題、生みの親である県対策統括官に聞く

自主療養の成果や課題を説明する畑中統括官

 新型コロナウイルスの感染拡大で逼迫(ひっぱく)する保健所、医療機関の負担を軽減するため神奈川県が独自に取り組む「自主療養」制度。生みの親である県の畑中洋亮・医療危機対策統括官(40)に成果や課題の受け止めを聞いた。

 ─今月16日時点で6967(同27日で9497)人が自主療養を選択した。この数をどう受け止めるか。

 「発熱外来の逼迫を抑える効果は十分に出せていないが、さらにひどい状況を防ぐ意味では一定の効果が出たと言える。県が実施したアンケートでは半数超が自主療養を『使ってもいい』との回答があったが、その規模に達していない。民間保険の支払い対象にしてほしいとの声があり、市中には抗原検査キットが十分出回っていない。この2点がボトルネックだ」

 ─県感染症対策協議会では導入に向けた議論で、患者のケアが不十分になるなど批判が上がっていた。

 「私が提案した当初の案は、医師の診断なしで発生届を出す形だった。厚生労働省や県の協議会から批判的な意見が上がった中、感染症法外の対応として、発生届を出さずに自主療養届を発行する現行の形になった。私としては妥協案だ」

 ─発案の経緯は。

 「沖縄の様子からオミクロン株から重症化する人は一部だと分かり、低リスク者を発熱外来に集中させない方法を考えた。県が自主療養証明書を発行する制度は実体験から着想した。1月に私を含めて家族で感染し、無症状だったが、子どもが通う保育園から『感染を証明する書類がないと休園できない』と頼まれ、渋々受診した。保護者に診断書を要求する人がいたようだ。社会的圧力にさらされ、証明書の必要性を実感した。ただ、外来が混雑していて仕方なく自主療養を利用した人もいるようで、大変心苦しい。何か対策できないか考えている」

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