レイズ27歳右腕・ゾンブロ 104マイルの打球頭部直撃から奇跡の復活

27歳のタイラー・ゾンブロ(レイズ)はマイナーキャンプ初日、他の選手たちとともにストレッチやキャッチボール、投手陣の守備練習に参加した。ゾンブロは「キャンプに参加できることはこの上ない幸せだ」と言う。なぜなら昨年6月3日(現地時間)、マイナーAAA級の試合で登板した際に104マイルのライナーが耳の少し上、右側頭部を直撃し、緊急手術を受けたからだ。1人の野球選手が普通にキャンプに参加しているだけのことだが、これを「奇跡」と考える人は非常に多い。

ゾンブロは頭部に打球を受けたあと、2時間半に及ぶ緊急手術を受け、16枚のプレートと36本のスクリューで頭蓋骨を安定させた。ゾンブロ自身は打球直撃の瞬間やその後5日間のことは何も覚えていないというが、妻とともに様々な治療に取り組んだ2カ月間のことは「大変だった」と振り返っている。そうした困難を乗り越え、現在は保護帽を被りながらもマイナーキャンプへの参加を許可され、1人の野球選手としてグラウンドに立っている。「僕の口から不平不満を聞くことはほとんどないと思うよ。毎日満喫しているし、本当に楽しいんだ」とゾンブロは笑顔で語る。

大きなトラウマを乗り越えて復帰するのは並大抵のことではないが、「これは神様の計画の一部なんだと思う。自分の未来は自分では決められない。神様がコントロールしているんだと思っている」とゾンブロ。「僕に起こった全てのことを考えると、ここに戻ってこられたこと、普通の状態でいられること、腕の状態がいいことなど、奇跡的だと思う。もし僕がここにいることが(神様が決めた)運命でなかったとしたら、このシナリオはなかったと思うんだ」と語った。

ゾンブロは回復の過程でレイズから受けた様々なサポートにも感謝している。チームメイトは現在に至るまで、常に励ましの言葉をかけてくれており、エリック・ニアンダー編成本部長からも毎週のように連絡をもらったそうだ。そんなゾンブロだが、リハビリ組に入ってスローペースで調整するつもりはないという。あくまでも目標はシーズン開幕に間に合わせること。「復帰が遅れるのは僕の本意ではない。準備はできているよ」と意気込みを口にした。

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