常温保管ワクチン接種問題 松田町、男性医師に100万円請求 町長「トップとして責任」自らの処分も 

新型コロナウイルスワクチンの誤接種で一時、診療日が縮小した寄診療所=松田町寄(2021年8月撮影)

 神奈川県の松田町立寄診療所(同町寄)で昨年、常温で保管されていた新型コロナウイルスワクチンを町民に接種した問題で、町は3日までに接種を行った当時の男性医師に約100万円の損害賠償請求をすることを決めた。本山博幸町長は、神奈川新聞社の取材に「トップとして責任を負わなければいけない」と自らの処分も行う意向を示した。

 町によると、昨年7月に発生した停電で、ワクチンを保管していた診療所の冷蔵庫が30時間以上、電源を失った状態となった。国などのマニュアルでは2~8度の保管温度を求めているが、当時の医師はワクチンが20度で保管されていたことを認識しながらそのまま120人に接種した。

 問題発覚後、町は誤接種した全員に抗体検査を実施したほか、診療所は約1カ月間、週1日の診察への縮小を余儀なくされた。医師は町側との面談を拒否したまま、昨年8月に依願退職した。

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