最終案に反対したオーナーが明らかに エンゼルスのモレノ・オーナーも

「ジ・アスレチック」のエバン・ドレリッチ記者が報じたところによると、労使交渉においてメジャーリーグ機構がメジャーリーグ選手会に提示した「最善かつ最終のオファー」に反対していた4人のオーナーは、レッズのボブ・カステリーニ、タイガースのクリス・イリッチ、ダイヤモンドバックスのケン・ケンドリック、そしてエンゼルスのアルテ・モレノだったようだ。この4人はぜいたく税の課税対象となる年俸総額の上限ラインを2億2000万ドルに引き上げることに反対していたという。

ドレリッチ記者は今週開かれたオーナー陣の話し合いに参加していた3人の関係者から情報を得た。ぜいたく税の上限ラインの伸び率は、球界全体の収益の伸び率を下回っており、選手会は機構側の提案を大きく上回る2億3800万ドルまで引き上げることを求めている。しかし、4人のオーナーは2億2000万ドルへの引き上げにすら反対。ドレリッチ記者は「4人のうちの少なくとも何人かは、コストや野球の経済システムに対する個人的な感情に基づいて(反対するという)スタンスを決めた」と記している。

また、機構側からの提案のなかには選手の食事代や選手が受け取る手当金などをぜいたく税の計算に含むことも盛り込まれていたという。つまり、オーナー側は食事代などを計算に含めることで、選手のサラリーに使える枠を小さくしようと考えていたのだ。これにはホームラン・ダービーやオールスター・ゲームに出場した際の手当金なども含まれていたようだ。選手会はこの提案に対して腹を立てていたことが報じられている。

エンゼルスのモレノ・オーナーがぜいたく税の上限ラインの引き上げに反対していることは、数年後にFAを控える大谷翔平の去就にも大きく影響するだろう。すでにマイク・トラウトとアンソニー・レンドンの大型契約を抱えているエンゼルスは、大谷との契約を延長することになった場合、この3人だけで年俸は1億ドルを超えるのが確実。エンゼルスにとって、ぜいたく税の上限ラインが引き上げられたほうがプラスになるはずだ。モレノ・オーナーには大谷を保有したままワールドシリーズ制覇を狙えるチームを作る意思はないのかもしれない。

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