「未来都市づくり」へ3.1%増 904億3000万円 2022年度山口市当初予算案

 山口市の2022年度一般会計当初予算案は、前年度比3.1%増の904億3000万円で、過去最高だった2020年度(938億8000万円)に次ぐ2番目の規模となった。「『共に進める 未来都市づくり』予算」のキャッチコピーがつけられており、新型コロナウイルス感染症への対策、農山村エリアの人口減少、大都市圏への転出超過、少子高齢化といった課題に向き合う一方で、社会全体のデジタル化、地域脱炭素、女性の活躍推進、あらゆる世代の人材育成など、未来も意識している。また、2021年度12月および3月の補正予算約77億1000万円と合わせた「16カ月予算」の総額は約981億4000万円で、これらは一体的に執行される。予算案は、2月18日から3月17日(木)までが会期の山口市議会に諮られている。

[歳入]
 「市税」は前年度当初比1.9%(5億2000万円)増の271億円を見込んでいる。個人・法人市民税合わせて4億6000万円の増収で、新築家屋の増加や宅地開発などにより、固定資産税も6000万円の増収に。また、国からの「地方交付税」は、26.3%(37億2000万円)増の178億9000万円の見込み。財源不足を補うため、貯金に当たる財政調整基金から13億円を取り崩すなどする「繰入金」は48億5000万円(2.2%増)で、市の借金に当たる「市債」は93億5000万円(30.4%減)。

[歳出]
 「人件費」は、退職者の増加により、前年度から5.2%増の161億3000万円に。私立保育園の新設および定員拡大に伴う運営費増加などから「扶助費」は1.7%増の195億1000万円となった。また「投資的経費」は、8.4%減の128億2000万円。「物件費」は、18.5%増の146億円。

[主な事業](金額は2021年度補正分を含む)
 [新型コロナウイルス感染症への全力の対策]①感染拡大防止に向けて=新型コロナウイルスワクチンの接種(17億6843万円)▽安心の検査体制の確保(6826万円)▽子育て世帯への臨時特別給付金等の給付(32億5760万円)▽住民税非課税世帯等臨時特別給付金の給付(26億9852万円)②社会経済活動の維持に向けて=飲食店や観光関連事業者等への事業継続支援(1億7000万円)▽市内事業者の「新しい生活様式」への対応支援(3000万円)③市内消費喚起に向けて=「エール!やまぐち」プレミアム共通商品券の発行支援(7億1000万円)▽デジタルクーポンの発行支援(6400万円)▽地元農林水産物の販売促進支援(1400万円)▽住宅リフォーム工事を通じた市内消費喚起(1億6863万円)
 [未来に向けた農山村・21地域づくり]①農山村エリアの地域活性化=スマートシティの推進(9590万円)▽スマート農機等の導入促進(6184万円)▽外部人材活用事業(8600万円)▽新規就農者支援事業(4978万円)▽新規漁業就業者支援事業(300万円)▽農山村エリアにおける起業創業の支援(2000万円)▽農山村元気拠点づくり支援事業(1190万円)▽重源の郷体験交流公園のリニューアル整備(4200万円)▽道の駅「長門峡」の駐車場整備(2422万円)▽道の駅「きららあじす」の機能強化(3億5540万円)▽道の駅「あいお」の移転新設(4845万円)▽美濃ケ浜海浜広場の機能強化(556万円)▽名田島南蛮樋保存整備事業(2528万円)②移住定住促進=関係人口創出促進事業(1100万円)▽やまぐち定住実現プロモーション事業(827万円)▽空き家利活用事業(834万円)▽空き家活用地域活性化事業(612万円)③地域を支える拠点づくりとネットワーク形成=阿知須総合支所の整備(2億3262万円)▽徳地総合支所の整備(4億5290万円)▽阿東地域交流センター篠生分館建設事業(2億8335万円)▽持続可能な公共交通の構築(4億7036万円)
 [将来にわたって発展する県都づくり]①山口都市核づくり=新本庁舎の整備(15億1534万円)▽山口市中心市街地周辺地区整備事業(1億470万円)▽中心市街地住環境総合整備事業(2億1070万円)▽人が集い賑わいのある商店街づくり支援事業(4150万円)▽築山跡第1期整備事業(791万円)▽山口ふるさと伝承総合センター「まなび館」の機能強化(4416万円)▽大内氏遺跡等ガイダンス事業(748万円)▽(仮称)湯田温泉パーク整備事業(3億2375万円)▽湯田温泉まちなか整備事業(3680万円)▽中園町周辺地区整備事業(2億50万円)▽山口情報芸術センター20周年記念事業(1000万円)②小郡都市核づくり=産業交流拠点施設管理運営事業(3億5650万円)③広域ネットワークの強化=県央連携都市圏域情報発信事業(1000万円)
 [今の暮らしを豊かにするまちづくり]①教育・子育て=ICT(情報通信技術)教育推進事業(2億4873万円)▽外国語教育の充実(5176万円)▽学校の多様な取り組みを生かした地域連携教育の推進(2986万円)▽小・中一貫教育の検討(130万円)▽日本一“本”を読むまちづくり(1億9891万円)▽保育園待機児童解消へ217人の定員拡大(56億2314万円)▽放課後児童クラブの定員を75人拡大(7億4708万円)▽放課後児童クラブの整備(2億5982万円)▽中学生までの子ども医療費の無料化(10億903万円)②働く・起業=デジタル技術活用・人材育成支援事業(8900万円)▽ふるさと産品営業推進事業(2億8215万円)▽鋳銭司第二団地整備(9億6520万円)▽働く女性の活躍応援事業(680万円)③文化・スポーツ・観光=地域伝統芸能全国大会開催事業(4220万円)▽C・S赤れんが開館30周年記念事業(481万円)▽武道館の整備検討(300万円)▽山口ゆめ回廊における広域観光連携事業(7490万円)▽観光維新ブランド創出事業(4220万円)④健康長寿=総合病院(山口赤十字病院、済生会山口総合病院)の建替え支援(4億479万円)▽予防接種事業(16億8315万円)⑤安全安心=デジタル技術を活用した消防・救助活動の高度化(1128万円)▽総合浸水対策事業(1億5050万円)▽地域脱炭素推進事業(2250万円)⑥市民サービス向上=デジタル行政推進事業(8463万円)▽住民異動手続きのデジタル化(2683万円)

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