【高校発SDGs】ー45ー宮崎西(下) 「学び向かう力」醸成

県サイエンススクールプレゼンテーションで優秀賞を受けた加藤さん(左) 

 本校では「学びに向かう力」の育成方針について、あらゆる教育活動で全職員に共有されている。全教育活動で職員が生徒の背中を押して「学びに向かう力」を醸成し、生徒がおのずとSDGs課題解決に向かうのが本校のESDである。

 ここからは前回に続き、ISEF日本代表に選出された加藤朋大さんの課題研究を紹介したい。米国・メリーランド大の原著論文を読んだ加藤さんはエポキシ樹脂を浸透させることで、木質の持つ生分解性(土壌や水中の微生物により分解される性質)が失われると考え実験を行い、数々の失敗を重ねた。しかし諦めず、遂にエポキシ樹脂の代わりに環境に優しい流動パラフィンを浸透させることで、米国のものとは異なる透明な木材「パラフィン・ボード」を作り出すことに成功した。日本独自の技術である「パラフィン紙」(薬包紙)に似た、このパラフィン・ボードは光透過性と共に、高い生分解性と強度を保持しており、持続可能な社会の実現に向けた有用な素材となり得る。

 最終審査では、審査委員から特許の取得を勧められた。加藤さんは「諦めなかったのは担当の先生の惜しみない伴走のおかげ。今後もこの研究を継続していくつもりです」と話す。

 このように、本校のESDはあらゆる教育活動で生徒の「学びに向かう力」を醸成し、生徒がおのずとSDGs解決に向かうような内容と言える。今後も生徒の無限の可能性を後押ししていくESDを展開したい。(指導教諭・東口匡樹)=おわり=

© 株式会社宮崎日日新聞社