「ふれて風のように/岩崎良美」尾崎亜美節が洋楽サウンドで炸裂したB面曲の傑作

”逆張り”を狙ったキャディラック・スリム

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'70~'90のJ-popやフォーク、ニューミュージックから歌謡曲まで「日本の曲」を中心に毎夜、30曲前後をフルコーラスでお届けするSTVラジオ『MUSIC★J』(RCCラジオ生ネット)。パーソナリティの松崎真人は「ポプコン」の出身ですので、同じくポプコン出身アーティストの曲を紹介することが多めですが、その中でも『MUSIC☆J』ではお馴染みの曲に”浅からぬつながり”のある曲から、ポプコントークが始まります。(文中敬称略)

松崎:ポプコン周辺の話をします。一見、関係なさそうでありそうな、ってところを掛けます。(19時44分ごろ)

M08「涙のリクエスト/チェッカーズ」

松崎:ポプコンではなく、同時進行で行われていた「ヤマハ・ライトミュージック・コンテスト」の出身です、直接に言うと。ただ、そこら辺はヤマハもうまい具合に曖昧にしていて、「ライトミュージック・コンテスト」からデビューしたチェッカーズが、ポプコンの北海道地区大会にゲストで来たりとか、そういう相互交流はあったんです。いつも話しますが、僕が(ポプコンで)グランプリを取った時、たまたまゲストが、この当時、「涙のリクエスト」が出て人気爆発の頃のチェッカーズで、私の北海道大会優勝のトロフィーは(藤井)フミヤからの手渡しだったと言うね、一生に一度の邂逅(かいこう=巡り合わせ)だったと思うんですけど。でも、彼ら、本当にあの時、疲れていたのを横から見ていて、大変だなーと思いましたね、スター業。

松崎:と言うわけで、ヤマハ”イケイケどんどん”でございます。もう、小坂明子の「あなた」とかのニューミュージック系だけじゃ無くて、バンド系でもヤマハはガンガン行けるんじゃないかって言うことで、期待の、もう超超期待の新人として北海道出身のこのバンドがデビューします。

M09「孤独のメッセージ/キャデラックスリム」(19時49分ころ)

松崎:帯広出身の5人組のロックン・ロール・バンドでして、と言うことは、チェッカーズのヒットを受けて、若干、オールディーズ的な音作り、当時最先端だったニューウェーブとかに背を向けて"逆張り"ですよね。代えって少し懐かしいくらいの曲作りで行っていたわけです。

松崎:ステージアクションとかもカッコ良かったですね。(中略)ちなみに、歌詞は、クリスタルキング「大都会」とかをすごい研究して書いてるなって感じがしました。

<編集後記>
「孤独のメッセージ/キャデラック・スリム」~ 詞・曲・アレンジ・コーラスアレンジ。すべてがヒットの要素を備えている。もちろんメンバーのステージアクトも最高。でも。チェッカーズのようにスターダムをかけ上がることは出来なかった。結果論になってしまうが、今聴くと、レコーディングにおけるミックスの方向性がいまひとつ定まっていない気がする。あくまでライブ演奏のように生々しく仕上げるのか?それとも繰り返し聴かれるレコーディング作品として「作り込んだ音」にするのか?そのあたりが曖昧なのだ。プロデュースを、あの後藤次利が任されたにも関わらず。一体、何が起こったのだろう? だいたい予想はついているのだが、言わぬが花、ということで。(松崎 真人)

そして、20時台には1枚のシングルのA面とB面をかけて、その時代背景や振り分けに秘められたエピソードを紐解く「ところでB面なんですけが」コーナー。「タッチ」で大ブレイクする前の岩崎良美の楽曲です。(20時31分ころ)

松崎:岩崎姉妹の差別化ってことをスタッフの方は凄く考えたと思うんです。どうしたって声の一部は似てるわけですから、宏美には宏美の世界を展開してもらって、良美には良美の世界を展開して欲しいって言う当時のスタッフの願いが込められている初期作品の数々です。その中から、僕の大好きな作品のA面とB面をかけます。アナログシングルレコードで、1981年に週間ランキング最高41位を記録しています。

M16「ごめんねDarling/岩崎良美」
M17「ふれて風のように/岩崎良美」

松崎:これはハッキリ、判りますね。どれだけ洋楽に近づけるかと言う、もう全然、歌謡曲を作ろうという気遣いをしないで、尾崎亜美が自由に作った曲を、岩崎良美が見事に歌い上げています。途中からギターソロが入って来て、ジェイ・グレイドかと思いました。「エア・プレイ」のサウンドですよね。当時の最先端の洋楽のサウンドの中で、尾崎亜美節が炸裂して、かなり洋楽に近い仕上げになっています。

松崎:だから、この曲は”B面曲”として(岩崎良美には)こう言う一面があることを知って下さいね、っていう意味でのA面・B面での振り分けだと思います。やはり(A面の)「ごめんねDarling」の方がキャッチーと言えばキャッチー。「ふれて風のように」の方は”スルメ曲”というか、何回も聴くと、いいところがどんどん分かってくる曲と言う感じがします。

松崎:それにしても、岩崎宏美・良美姉妹が今でも元気で、しかも時々、ジョイントしてくれてるっていうのはスゴい豪華ですよね。近くに来てくれる機会があったら、ぜひ、見てみたいです。

3月8日のプレイリスト M23~M25>実写化映画のテーマ・主題歌をミニ特集

M01「Overnight Sensation〜時代はあなたに委ねてる/TRF」
M02「Ticket To Paradise/中西圭三」
M03「Timing/ブラックビスケッツ」
M04「濡れた髪のLonely/池田聡」
M05「ウルトラマンメビウス/Project DMM withウルトラ防衛隊」
M06「北国の二人/ジャッキー吉川とブルーコメッツ」
M07「ハートブレイク・ホテル/小坂一也」
M08「涙のリクエスト/チェッカーズ」
M09「孤独のメッセージ/キャデラックスリム」
M10「顔/コンセントピックス」

M11「最後の春休み/松任谷由実」
M12「制服/松田聖子」
M13「私のハートはストップモーション/桑江知子」
M14「SO YOUNG/THE YELLOW MONKEY」
M15「恋のマジックポーション/すかんち」
M16「ごめんねDarling/岩崎良美」
M17「ふれて風のように/岩崎良美」
M18「さらばミシシッピー/柳ジョージ&レイニーウッド」
M19「ヨコハマ Uō・Uō・Uō/矢沢永吉」

M20「RYDEEN/YMO」
M21「エレクトリック・ラブストーリー/近田春夫」
M22「夢見るシェルター人形(夢見るシャンソン人形)/ジューシィ・フルーツ」
M23「誰かの願いが叶う頃/宇多田ヒカル」
M24「嗚呼!!花の応援団/異邦人」
M25「今日もどこかでデビルマン/十田敬三」
M26「二人のバースディ/佐野元春」
M27「家路/岩崎宏美」
M28「白いくつ下は似合わない/アグネス・チャン」

STVラジオ『MUSIC☆J』(毎週 火~金 19:00~22:00) ★RCCラジオ生ネット

MUSIC★J

放送局:STVラジオ 他1局ネット

放送日時:毎週火曜~金曜 19時00分~22時00分
※放送局によって日時が異なる場合があります。

出演者:松崎真人(まつざき・まこと):シンガーソングライター、選曲家。北海道札幌市出身。1984年ヤマハポピュラーソングコンテストで優秀賞を受賞し、85年「たわいないトワイライト」でデビュー。92年、佐木伸誘とユニット「Birthday Suit」結成。現在はソロでラジオパーソナリティやライブを中心に活躍中。

番組ホームページ

★リクエストメール:mj@stv.jp
★twitterハッシュタグ:#musicj
70年代~90年代の日本のポップス・日本語のポップスを中心に"厳選かけ流し"でお届け。J-popの源流を築いた往年の名曲を毎日30曲前後も紹介するパワー・プログラム。いまの10代~20代にも聴いて欲しい、日本の音楽がわかる番組!ブームの"シティ・ポップ"、その源流や背景、エピソードは「MJ」の最も得意なフィールドです。

パーソナリティは、北海道出身のシンガーソングライター・松崎真人。音楽への深い造詣と知識に裏打ちされた含蓄あるトーク、選曲の幅広さでリスナーの支持を全国に広げている。
☆広島・RCCラジオでも同時生放送(~21:50)

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