石川県知事選挙の投票に行くときに知っておきたい! これからの石川県に関する5つの数字(原口和徳)

石川県知事選挙は3月13日に投開票日を迎えます。

新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置が適用される中で、改めて県政に興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これからの石川県政を考えるきっかけとなるべく、5つの数字で石川県を取り巻く状況を紹介します。

「112.2万人」→石川県の人口は2000年代に入ってから徐々に減少

県の統計によると石川県の人口は112.2万人(2022年2月)です。県の人口は2000年に118.1万人を記録して以来緩やかな減少を続けています。

また、少子高齢化も進んでいます。

県民の内、65歳以上の方の割合は2000年に18.6%でしたが、2021年には29.7%まで上昇しています。一方で14歳以下の子どもが占める割合は2000年に14.87%であったものが2021年には12.0%に減少しています。

2,000人→10年前と比べて減少した年間出生数

県民の年齢構成の変化は様々な形で表れています。

例えば出生数です。その年における各年齢(15~49歳)の女性の出生率を合計した合計特殊出生率は、2010年1.40であったものが2020年1.47と改善しているにもかかわらず、出生数は2010年9,849人から2020年7,712人へと減少しています。このことの背景にあるのが、出産適齢期の女性の減少です。

年齢別の転出、転入の状況をみると、石川県では20代での転出超過が目立っており、ここ数年は毎年20代の県民で2,000人程度の転出超過となっています。

一方で、出産適齢期の女性は働き手世代でもあります。

男女共同参画白書によれば、石川県での25歳~44歳の女性の就業率は2015年に80.2%と全国で7番目に高い水準となっています。また、女性の社会参画における環境整備状況を表す情報として使用されることの多い保育所待機児童数も0人(2021年4月)となっています。

石川県知事選挙では、複数の候補者が女性の活躍推進や少子化対策を公約で取り上げています。

それぞれの取り組みが長期間にわたって続く少子化という現象にどのような影響を及ぼしうるものなのかが注目されます。

「166人」→2023年に不足が見込まれている介護人員数

県内での65歳以上の方の急増は、数年後には、より社会的な支援が必要となる方の割合が増す75歳以上人口の増加につながっていきます。

具体的には、2021年には75歳以上の方は県民の15.1%ほどですが、2025年18.8%、2030年20.2%と8年後には県民の5人に1人が75歳以上となっていきます。

そのような中で懸念されるのが介護環境です。

石川県は他の多くの都道府県と違い、将来推計において必要と見込まれる介護職員数と確保見込みの介護職員数のギャップが小さくなっています。例えば、2023年に見込まれる介護人材の不足数は166人と全国で5番目に少なくなっています。

一方で、高齢者の方の中でひとり暮らしをする方の割合が、2015年14.4%であったものが2030年に16%に達し、2040年には高齢者の方の内5人に1人の方がひとり暮らしとなることも見込まれています。

介護人材については、他の都道府県において深刻な人材不足が見込まれており、今後、人材の争奪戦ともいえる状況になる可能性があります。その時により影響を受けやすいのは、地域とのつながりの薄い若い世代の方です。

お年を召された方が安心して地域の中で暮らしていける環境を作るためにどのような取組みが必要となるのか、各候補者の見解が注目されます。

「60.9%」→県内大学生卒業生の6割強が県外で就職している

石川県内の有効求人倍率は1.46(2022年1月)と前年同月から0.24ポイントほど改善しています。2019年度の年度平均が1.87であったことを踏まえるとコロナ禍前の状況には戻っていないものの、回復基調にあることがわかります。

また、内閣府による県民経済計算において、石川県の「一人あたり県民所得(2018年)」は302.3万円と10年前(2008年273.8万円)と比較すると上昇していることもわかります。

先述の2022年1月の有効求人倍率は全国で8番目に高い水準となるなど、石川県の雇用環境はコロナ禍にあっても堅調なように見えますが、課題もあります。

若者世代の県外への流出と関連していますが、県内大学卒業者の県内就職率は39.1%(2019年)となっており、およそ6割の人が県外に活躍の場を求めている状況にあります。

県の未来の担い手である若者が石川県内で活躍の場を得るためにはどのような取組みが求められるでしょうか。

「28.3%」→3/10時点での新型コロナウイルス感染症の確保病床使用率

県によると、石川県内での新型コロナウイルス感染症の感染者数は延べ28,728人、死亡者数は178人、病床使用率は28.3%となっています。(3月10日時点)

新規感染者数は今年に入って急増しており、1月1日から3月10日までの間に20,768人の方が感染しています。

また、医療提供体制への負荷も高くなっていました。NHKの集計によると、2月9日に病床使用率が68%となるなど、特に2月前半は50%を超える病床使用率となっていました。

なお、石川県の医療環境については、人口10万人当たりの一般病床数は7.1床(2019年)であり、全国では多い方から数えて19番目の水準でした。同様に人口10万人当たりの保健師数は49.8人で多い方から数えて31番目の水準となっています。

東京都では、感染力のより強い変異型オミクロン株(BA.2)の感染が増加傾向にあるとも報じられており、今後再び感染拡大の状況が生じる可能性もあります。そのような中で、社会経済活動と医療環境のバランスを取りながら、どのようにコロナ禍を乗り越えていくのか、各候補者の見解が注目されます。

今回の石川県知事選挙を通して、石川県では28年ぶりに新しい県知事が選出されます。

少子高齢化や新型コロナウイルス感染症といった県内に暮らす人々の生活を一変させるような大きな課題を前にして、どのような県の未来が選択されることになるのかが注目されます。

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