串揚げ馬鹿一代 くし亭 〜 地元の食材・旬の食材にこだわる串揚げと一品料理。京都の生麩・湯葉や九州の馬刺しも人気!

串揚げ(串カツ)は、大人も子供も大好きですよね。

値段がリーズナブルなので、気軽に行けるのが魅力。
しかも、一口サイズで食べやすく、いろいろな種類が選べるのが楽しいです。

そんな串揚げを、倉敷の地で20年以上にわたってつくっているお店があります。
それが「串揚げ馬鹿一代 くし亭」。

くし亭は、ただの串揚げ店ではありません。
食材にとてもこだわっているんです。

倉敷はもちろん、岡山県内や近隣地域でとれた旬の野菜や鮮魚をたくさん使っています。
こだわりは、串揚げにつけるソースや塩までにもおよんでいるんです。

さらに串揚げ以外にも、地元の旬の食材を使った一品料理も豊富にラインナップ。

めずらしいものでは、オーナーの地元・京都から取り寄せた生麩・湯葉を使った料理も。
九州直送の馬刺しにも注目です。

そんな魅力いっぱいの串揚げ馬鹿一代 くし亭を紹介します。

くし亭は1999年創業の串揚げ専門店。地元食材や旬の食材にこだわった料理が味わえる

くし亭は、1999年(平成11年)3月にオープンしました。
現在まで20年以上、同じ場所で営業しています。

自ら「串揚げ馬鹿一代」と名乗っているように、串揚げがメインのメニュー。
それは、創業時からずっと変わりません。

くわえて、地元で水揚げされた鮮魚を中心とした一品メニューもラインナップしていて、人気です。

さらに、オーナーの地元である京都の生麩・湯葉や熊本の馬刺しなどのユニークなメニューもそろっています。

串揚げに20年以上こだわったお店でありながら、それだけではないのが、くし亭の魅力です。

▼コの字カウンターの中では、スタッフで「揚場長(あげばちょう)」の鴨井(かもい)さんが、串揚げを揚げます。

掲載している写真は、2019年10月に撮影したものです。

現在は感染症対策として、カウンターおよびテーブルに「パーティション」が設置されています。

コの字カウンターなので、スタッフとお客さんのやり取りが楽しいのも、人気の秘密。

常連さんから初めてのお客さんまで、スタッフと気さくにコミュニケーションが取れる、明るい雰囲気のお店です。

カウンターのほかにも、4人がけのテーブル席が3卓あります

テーブルの配置を変えたり、予備のイスを使うことで、少し増席可能。

くし亭は、一人からカップルやグループ、さらに子供連れのファミリーまで幅広いお客さんに人気です。

▼スタッフの名刺も運転免許風でユニーク。

一度見たら忘れられません。

揚げたてで衣がサクサクの串揚げは種類が豊富

写真提供:くし亭

▼取材時のメニューは以下の通り。

その多くが、地元岡山県やその近隣地域の旬の食材です。

なお、食べきれなかった串揚げは持ち帰ることもできます。

▼悩んだときは、コースをたのむのも手です。

コースは、15本・10本・5本の3コースあって、お店がおすすめの品を選んで出してもらえます。

価格は消費税込み。2022年(令和4年)3月時点のもの

旬の食材にこだわるから、串揚げメニューは季節ごとに入れ替わる

くし亭では、串揚げのメニューは季節ごとに変わります。

串揚げで四季を感じられるのは、意外かもしれません。

だからこそ、四季ごとにくし亭を訪れて、旬の食材の串揚げを味わってみたくなります。

なお、取材は秋におこないましたので、秋のメニューでした。

秋のメニューには、以下のような旬の食材です。

  • 寄島(よりしま)産のシャコ
  • 倉敷産のれん根
  • 矢掛(やかげ)産のアスパラ
  • 岡山産のマッシュルーム
  • 香川産のエリンギ
  • ぎんなん
  • 紅芋

ほかにも旬の食材がたくさん。

ちなみに、同じ季節でも年によって内容は変わる可能性があります。

人気の串揚げベスト・テン

写真提供:くし亭

串揚げは、種類が豊富なのが魅力。
たくさんのメニューの中から、どれを食べようか選ぶのも楽しみのひとつです。

しかし、種類が多くてどれにしようか悩んでしまうことも。

そこで、お店のスタッフで実際に串揚げを揚げている鴨井さんに、人気がある串揚げ10品を教えてもらいました。

  • 豚バラ
  • 牛肉
  • 牛チーズ
  • アスパラ
  • ヤングコーン
  • れん根明太
  • れん根蟹味噌
  • ホタテベーコン
  • エビ椎茸
  • 手羽先

くし亭に行って、串揚げを選ぶときの参考にしてみてください。

なお、時季によっては取り扱いのない品もあります。

おすすめの串揚げ

取材時に実際に食べた串揚げ(秋メニュー)6品を紹介します。

写真中央下部より時計回りに、玉ねぎ・ごぼう・手羽先・寄島シャコ・うずら(の卵)・れん根。

串揚げは、どれも衣のパン粉はきめ細かく、カラッと揚がっていました。

口の中に入れると、サクッとした軽快な音をたてます。
衣自体も香ばしくて、何もつけなくてもおいしいと思えるほど。

まずは「玉ねぎ」から

玉ねぎは倉敷産の「藤田タマネギ」。

玉ねぎの串揚げは、柔らかく「しんなり」としていて、衣のサクサク感と対照的なのが印象に残ります。

そして、タマネギ特有のやさしい甘みが味わえました。

お次は「ごぼう」

ごぼうの串揚げは、串を使わずにアスパラのようにスティック状に切ったものを揚げています。

口の中に入れると、衣のサクッとした食感の後、ゴボウの「しなっ」とした食感。

そして、ごぼう自体にキンピラ風の甘辛い味の下味がしてあって、そのままでも十分においしいと感じました。
ごぼう独特の風味と甘辛い味付けが、とてもよく合います。

連島は、ごぼうの産地として有名です。

つづいては「手羽先」

手羽先も串を使わずに、骨の部分を持って食べます。

皮はカリカリっとした食感で、香ばしくて甘みがありました。

身はジューシーで、鶏の肉のうま味がたっぷり。
そして、塩味とコショウがいい感じにきいています。

手羽先は、子供から大人まで幅広く好まれる品ではないでしょうか。

そして「寄島シャコ」

寄島シャコは、一品もののメニューの中にある「日替わり串揚げ」にありました。

岡山県は、シャコをよく食べる地域柄。
寄島シャコは、時季限定で地域色の強い串揚げです。
そのため、観光客・ビジネス客のかたにおすすめ。

寄島シャコの串揚げを食べると、まず衣のサクッという食感のあと、シャコの身がプリリとした食感です。

そして、シャコの身に歯が入った直後、シャコのうま味と淡白な甘みの味わいが口の中に、にじみ出てきました。

寄島シャコの串揚げは、塩をつけるか、何もつけずにそのまま食べるのがいいかも。

なお取材日には、寄島シャコの酢の物やボイルもありました。

次は「うずら」

うずらの卵2個を串に刺して揚げています。
見た目もかわいらしく、串揚げらしいと思いました。

衣のサクッとした食感に続いて、白身のプリッとした食感。
そして黄身のホロっとした食感がやってきます。

その後、黄身の味わいが広がってきました。

最後は「れん根」

見た目がハッキリと、れん根とわかる見た目がおもしろいと思います。

連島はごぼうとともに、れん根の産地でもあります。

れん根の串揚げをかんだ瞬間、衣のサクッとした食感と同時に、それに負けないれん根のシャキッとした小気味よい歯ごたえが。

次第に、れん根の淡い甘みが少しずつ広がっていきます。
そして、食べ終わる最後の瞬間までシャキシャキ感が楽しめました。

れん根の串揚げは、身がホクホクとしているのを想像していましたので、いい意味で期待を裏切られたと思います。

れん根の串揚げは、観光やビジネスで来たお客さんに、ぜひ味わってもらいたい地元の味です。

串揚げのソースや塩・ポン酢にもこだわりあり!

串揚げといえば、ソースをつけて食べるイメージがないでしょうか。

もちろん、くし亭でも串揚げ用のソースがあります。
しかもソースだけでなく、塩とポン酢もあるんです。

▼ソース・塩・ポン酢は、ひとりひとり個別の皿で出てきます。

だから、大阪ミナミの串揚げ(串カツ)のように「二度漬け厳禁」ということはありません。

ソースは自家製
オープン以来、継ぎ足しで使っている秘伝のソースです。

くし亭の自家製ソースは、ウスターソースをベースにし、いろいろなものをブレンドして煮詰めてつくっています

そして、個性的なのはソースの中にピーナッツの破片が入っているとのこと。

甘みと酸味、ピーナツの食感と風味がクセになって、何度もソースだけつまんでしまいました。

▼塩も、くし亭のオリジナリティがあふれています。

くし亭の塩は、店で塩に酒を合わせ、炒り直しているんです。
そのため、塩味の中に甘みが出ているのが特徴とのこと。

▼ポン酢は、アッサリと串揚げを楽しめます。

くし亭では、いくつかのポン酢をブレンドしています
そのため、くし亭独特の味わいのポン酢に。

口直しのガリも付いています。

串揚げ以外にも魅力的な日替わりメニューがたくさん「食わずに死ねまへん」!

くし亭は、串揚げのお店ですが、魅力はそれだけにとどまりません。

その日の入荷によって変わる、日替わりの一品メニューも豊富にラインナップしています。

▼その名も「食わずに死ねまへん!!」。
名前がとてもユニークです。

取材日の日替わりメニューです

刺身やサラダ、居酒屋の定番メニューなどが並んでいます。

さらに、七輪焼きや馬刺し・湯葉・生麩といったものも。

串揚げのレギュラーメニューにない、日替わりの串揚げメニューもあるので注目です。

地元で水揚げされた日替わりの海鮮料理も名物

くし亭では、毎日地元の寄島港や下津井港などで水揚げされた海鮮を入荷しています。

新鮮な海鮮料理も、くし亭の名物です。

刺身「カワハギ 肝付き」

▼取材時の海鮮メニューの中から「カワハギ 肝付き」の刺身をいただきました。

私は、カワハギは煮つけなどでは何度も食べたことがありますが、カワハギを刺身で食べるのは初めての経験です。

薄くさばかれたカワハギの身は、透き通っていて美しい

食べると、コリコリとした身の食感にくわえ、ほのかな甘みと旨みが噛むごとにジワッと出てきます。

薄桃色をしたカワハギの肝。

肝を生で食べるのも初めてです。

肝を食べると、舌の上でトロッととけるような柔らかさ。

コクのある甘みが癖になります。

ゴマ・よもぎ・粟の三種セットの京都直送「生麩」

くし亭のオーナーは、京都の出身。

▼そのため、くし亭では京都の名物である生麩(なまふ)を食べられます。

生麩は三種あります。

左からヨモギ、ゴマ、粟

厚みがあってモッチリとした京都直送「くみあげ湯葉刺身」

生麩と同じく、くし亭では京都名物の湯葉が食べられます。

くみあげ湯葉刺身」は人気のメニューです。

倉敷あたりでは、湯葉料理はあまり食べられないのではないでしょうか。

美しい艶のある表面が印象的です

くみあげ湯葉刺身を食べてみると、とてもトロリとした、とろけるような舌触り。

表面は少しモッチリ感がありました

湯葉独特の淡い甘みが楽しめます。

九州直送の馬刺し 紅白盛り

くし亭の人気メニューに、馬刺しがあります。

くし亭の馬刺しには、甘い味わいが特徴の希少部位「タテガミ」もいっしょに盛られる「紅白盛り」で提供されます。

タテガミは、文字通り馬のたてがみ部分の肉のこと。

なお、馬刺しは時価となります。

シメにはめずらしいメレンゲ状の「こだわり玉子メシ(TKG)」を

くし亭のシメには、めずらしい料理が人気です。

それは「こだわり玉子メシ(TKG)」。
いわゆる玉子かけごはんなのですが、くし亭ならではのアレンジがなされています。

専用のかき混ぜ器で玉子を混ぜて、白身をメレンゲ状に泡立てて食べるのです。

そうすることで、いままで味わったことのないような、独特の玉子かけごはんが完成します。

一度食べたら、やみつきになりそうです。

ドリンクはサワーやハイボールがおすすめ

くし亭では、定番のドリンクを幅広くラインナップ。

▼特にくし亭は、ハイボールやサワー類に力を入れています。

▼店内にもおすすめのハイボールやサワーのポスターが貼られていました。

価格は消費税込み。2022年(令和4年)3月時点のもの

強炭酸でライム入りの「角缶ハイボール」

▼取材時に注文したのが「角缶ハイボール」です。

金属製のカップで出されるのが個性的。

▼ライムが入るのも、くし亭ならではです。

ライムのさわやかな酸味と、強炭酸の組み合わせがたまりません。

串揚げはもちろん、海鮮から馬刺し・湯葉・生麩など、幅広い料理が人気のくし亭。

そんなくし亭の創業当時から長年にわたり串揚げを揚げている、スタッフの鴨井 俊夫(かもい としお)さんにインタビューをしました。

スタッフの鴨井 俊夫さんにインタビュー

くし亭の創業時から、串揚げを揚げている鴨井 俊夫(かもい としお)さんに、くし亭の特徴、串揚げの魅力、創業エピソードなどを聞きました。

インタビューは2019年10月の初回取材時に行った内容を掲載しています。

倉敷には少ない串揚げを広めたかったので創業した

──なぜくし亭を開業した?

鴨井────

くし亭のオーナーは、京都が出身地なんです。
大阪・ミナミの串揚げ(串カツ)は全国的に有名ですが、京都など関西では串揚げは身近な存在。

1990年代の倉敷では、串揚げはあまり知られておらず、串揚げ店は少なかったんです。

そこでオーナーは、倉敷の人たちにもっと串揚げを知って欲しい串揚げを気軽に楽しんで欲しいとの思いで、くし亭を開業しました。

開業は、1999年(平成11年)のことです。
場所は今と同じところですよ。

ちなみに、店名の「串揚げ馬鹿一代」は、昔の漫画『空手バカ一代』から取っています。

──鴨井さんがくし亭で働くようになった経緯は?

鴨井────

私は、学校を卒業していろいろな飲食店でアルバイトをしていました。

そんなときに、オーナーと知り合い、串揚げ店を開業するので協力して欲しいと声をかけていただき、くし亭の開業時から働くことになったんです。

ただ、私は生まれも育ちも倉敷なので、串揚げ自体をくわしく知りません。
もちろん串揚げをつくるのも生まれて初めて。

最初は、勝手がわからず困りました(笑)

基本的なことは教えてもらいましたが、料理は感覚的な部分や直感的な部分もあります。
そこは営業しながら、独学で覚えました。

誰でも気軽にいろいろな食材を楽しめるのが串揚げの魅力

──鴨井さんから見て、串揚げの魅力は?

鴨井────

一番は気軽にいろいろな種類が食べられることですね。

串揚げのほとんどが、一口・二口くらいのサイズ。
だから、少しずつたくさんの種類が食べられるので、飽きないですよね。

しかも、食べる量が調整しやすいので、食べ過ぎたり、食べ残したりすることも少ないです。
ダイエット中のかたや、小食のかたも安心して食べられます。

あとは、苦手な食べ物も串揚げにすると食べられたりするんですよ。
これも串揚げの魅力ですね。

もうひとつ、箸やスプーンなどを使わなくても、串のまま食べられる手軽さも魅力。
だから、子供にも人気なんです。

子供連れのファミリー層も多く来店されますよ。

食材は地元のものや旬のものにこだわっている

──くし亭のこだわりは?

鴨井────

くし亭では、食材にこだわっています。

できるだけ、地元の倉敷市内や岡山県内、近県のものを使うようにしていますよ。

また、四季それぞれの旬のものも積極的に使っています。
そのため四季ごとにメニューを入れ換えているんですよ。

ほかに、串揚げ以外のメニューにも力を入れています。
串揚げ以外でも食材には地元のもの、旬のものを使うようしています。

特に魚介類を使ったメニューは、その日の仕入れに合わせた日替わりになっていますよ。

来店されたとき、その日のメニューはどんなものがあるか、楽しみにしてくださいね。

あとは、オーナーの地元・京都から直送の生麩・湯葉料理も人気のメニューです。

九州直送の馬刺しもおすすめですね。
これは、懇意にしている業者さんとの繋がりで実現したメニューなんですよ。

くし亭は地元のかたのリピート率が高いが、初めてのかたも訪れやすい雰囲気づくりを心掛けている

──くし亭の特徴は?

鴨井────

くし亭は、地元のお客さんのリピート率が高いのが特徴です。

そのいっぽうで、初めてのお客さんもお越しいただいています。

近くにホテルがあるのですが、ホテルに紹介いただいて、ビジネス客のかたや観光のかたも来店されますよ。

初めてのかたでも楽しめるように、気軽に声が掛けやすい雰囲気づくりに気を使っています。

くし亭は一期一会を大切にしているのでお客さんとの距離が近い

──ほかにくし亭の魅力はある?

鴨井────

くし亭は開業以来「一期一会(いちご いちえ)」をモットーに営業してきました。

だから、お客さんとお店の距離感がとても近いのが、くし亭の売りですね。

常連さんも初めのかたも、楽しく串揚げや料理を味わっていただきたいとの思いでやらせていただいています。

初めてのかたでも、わからないことがあったり、おすすめの料理が知りたかったりしたら、遠慮なくスタッフにお尋ねください!

おわりに

くし亭の鴨井さんも話したように、串揚げはいろいろな味が楽しめるのが魅力だとお思います。

しかも、くし亭は地元の食材・旬の食材にこだわっています。
いろいろ食べやすい串揚げだからこそ、そんな魅力的な食材がたくさん楽しめると思いました。

気さくなスタッフは、わからないことを気軽に聞ける雰囲気。
くし亭は、初めてのかたから常連さんまで、幅広く食材を楽しめるお店です。

ぜひ一度、地元の味・旬の味の串揚げを味わってみてください。
もちろん、一品料理もおすすめです。

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