小田原北条氏と鎌倉の関わりは 横浜で古文書から読み解く企画展

古文書を解読した「釈文(しゃくもん)」も並べて展示している=県立歴史博物館

 小田原を拠点に関東を広く治めた戦国時代の小田原北条氏(後北条氏)と鎌倉の関わりを古文書から読み解く企画展「帰源院文書(きげんいんもんじょ)からみた戦国時代」が、神奈川県立歴史博物館(横浜市中区)で開かれている。土地や税に関わる公的な文書や私的な書状など、戦国から江戸時代までの古文書約30点が並ぶ。4月10日まで。

 帰源院は、円覚寺(鎌倉市)内にある塔頭(たっちゅう)の一つ。南北朝時代に建立され、戦国時代に小田原北条氏3代当主の氏康が中興した。夏目漱石が同寺で参禅した際は、宿所にしたという。

 今回展示されている「北条氏康判物(はんもつ)」(1547年)は、現在の埼玉で別の寺の住職をしていた僧・奇文禅才(きもんぜんざい)に鎌倉に来るよう氏康がつづった書状で、氏康の署名と花押(かおう)がある。奇文は2年後に同院の住職となった。

 戦国時代に税を免除されていた円覚寺が納税を求めてきた徳川幕府に免除を訴える文書もあり、武士と鎌倉の寺院との時代の変遷による関係性の変化も浮かび上がってくる。

 担当学芸員の梯弘人(かけはし・ひろと)さん(38)は「戦国から江戸という激動の時代に、ここまでまとまって文書が残っているのは貴重」と話している。

 入場無料。21日を除く月曜と22、29日休館。21日まで入館には事前予約が必要。問い合わせは、同館電話045(201)0926。

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