【新型コロナ】まん延防止解除 神奈川有数の観光地・鎌倉「期待」と「心配も半分」

3連休の初日とあって、多くの観光客らでにぎわう鶴岡八幡宮周辺=19日午後、鎌倉市

 新型コロナウイルス感染拡大に伴うまん延防止等重点措置が21日の期限で、全面解除される。同措置が全国どの地域にも適用されていないのは1月8日以来、約2カ月半ぶり。県内有数の観光地・鎌倉では客足回復への期待が膨らむ一方で、また再びの感染拡大を危ぶむ声も入り交じる。先行きに不透明感が付きまとう解除になりそうだ。

 JR鎌倉駅近くの御成通りにある「冷やし焼き芋」を売るテークアウト専門店「鎌倉いにしえにし」の店長、水谷智美さんは「当然、客足が増えるのを期待している」と話し、苦境を振り返る。

 店がオープンしたのは2019年の秋。開店からわずか半年足らずで、コロナ禍に見舞われた。「開業以来、ほとんど真っ向勝負ができていない」と悔しさを打ち明ける。

 放映中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の舞台が市内に移るのに合わせ、ドラマの登場人物をあしらった和紙で包んだ「冷やし焼き芋」の販売をスタートするなど、集客に余念がない。

 一方、鎌倉小町商店会会長の今雅史さん(73)は「(措置が)長くなり困っていた。『ようやく解除』という思いはある」。ただ、気持ちが晴れているわけではない。今も市内では、多い日には100人程度の新規感染者が報告されている。急減する見通しはなく、むしろ過去の増減傾向と比べ、減り方が鈍い。今さんは、「集客はしたいが、心配も半分」と苦しい胸の内を明かす。

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