“朝鮮は米国との長期戦に万全の態勢で臨む” ICBM試射再開と戦略兵器システムの開発

3月24日、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星砲-17」型の試射が行われた。朝鮮メディアは「チュチェ朝鮮の絶対的力、軍事的な強勢を誇示」とその意義を強調し、新型兵器システムの使命と任務について「朝鮮国の安全を守る強力な核戦争抑制力」であると明かした。朝鮮は戦争挑発者に対して、いかなる軍事的脅威も徹底的に制圧する力、平和を守る力を見せつけたことになる。

新型ICBM「火星砲-17」型の試射が行われた (朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 軍事的緊張の根源は米国

 朝鮮でICBM試射が行われたのは、「火星砲-15」型が打ち上げられた2017年11月29日以来、4年4ヶ月ぶりだ。

その間、朝鮮は情勢緩和の局面を維持するために尽力した。核実験とICBM試射を中止することを決定した。トランプ政権を相手に新たな朝米関係を樹立し、朝鮮半島の平和を実現するための対話も続けた。

しかし、米国は非核化交渉を朝鮮の武装解除のための機会と捉え、旧態依然の敵視政策・対決政策を追求した。

昨年1月、米国で新政権が発足する前に、朝鮮は「強対強、善対善」の原則で米国を相手するという立場を表明したが、バイデン政権は結局、「強対強」原則を作動させる引き金を引いた。前政権で中止を公約した南との合同軍事練習を続け、様々な戦略兵器の実験を行う一方で、先端兵器を南に搬入し、戦略核兵器を朝鮮半島周辺地域に展開した。そして朝鮮の国防力強化措置を非難し、国際的圧力をかけ、交戦相手の自衛権を剥奪しようとした。

朝鮮半島地域の情勢不安は米国が招いている。米国が引き起こしている現在の安全保障環境の変化は、朝鮮にとって大きなリスクをはらんでいる。

今回、試射が行われた新型ICBMは、朝鮮の不可抗力が凝結した巨大な実体だ。 「火星砲-17」型は太平洋を挟んで対決する米国に照準を合わせた朝鮮の戦略兵器における「核心的打撃手段」と位置づけられている。

新型ICBM「火星砲-17」型の試射が行われた (朝鮮中央通信=朝鮮通信)

交戦相手を制圧し屈服させる力

 朝鮮は米国との長期戦に万全の態勢で臨んでいる。

米国は、社会主義強国建設を進める朝鮮の前途に立ちふさがる最大の障害である。昨年1月の朝鮮労働党第8回党大会では、米国を制圧して屈服させることに対外政治活動の焦点を合わせることが決定された。

制圧して屈服させるという言葉には、米国に政治的・外交的圧力を与え続け、耐え難い状況に追い込み、時代錯誤的な朝鮮敵視政策を自ら放棄させるというニュアンスがある。

ところが社会主義朝鮮において長期化が不可避な米国との対決には重大な特徴がある。核戦争威嚇が伴うことだ。米国は実際に核兵器を使った前科があり、1950年代の朝鮮戦争で核兵器の使用を検討し、21世紀の今も朝鮮を核先制攻撃の対象と定めている。

朝鮮の戦略兵器開発は、米国の開戦意志を完全に打ち砕く圧倒的な力を備えることに目的がある。圧倒的な軍事的攻撃能力を備えた朝鮮を敵視し対決姿勢をとること自体が米国の国家安全保障を危険にさらす自害行為になることをホワイトハウスとペンタゴンが悟り、既存政策を撤回すれば武力衝突は起きない。

朝鮮は米国との軍事的対決においても交戦相手を制圧し、屈服させるための長期戦を繰り広げている。

4年4ヶ月前の「火星砲-15」型試射は、ロフテッド(高角発射)方式で行われ、ミサイルが高度4,475㎞まで上昇し950㎞の距離を飛行した。 「火星砲-17」型は最大頂点高度6,248.5㎞、飛行距離は1,090㎞と発表された。朝鮮メディアを通じて全世界に伝えられた2022年3月のICBM試射は、最先端国防科学技術に裏打ちされた朝鮮の軍事的強勢を誇示することで、核戦争威嚇という米国の戦略技法に打撃を与えた。

 強硬対応を主張する戦争挑発者

 新型ICBMの開発を重要視し、「火星砲-17」型試射のすべての過程を直接指導した金正恩総書記は、朝鮮の核戦争抑止の手段が宇宙に向けて飛び立ち公海上の予定水域に正確に弾着したことを確認した後、誰であれ、わが国家の安全を侵害しようとするなら、必ず凄絶な代償を払うことになるということをはっきり認識させるべきだと述べたという。

金正恩総書記は新型ICBM試射すべての過程を直接指導した (朝鮮中央通信=朝鮮通信) 

朝鮮は戦争を望まないので、それを抑制する力の存在を隠さない。「火星砲-17」型試射の翌日には、その過程を収めた動画を朝鮮中央テレビで公開した。

一方、戦争挑発者は、平和保障の使命と任務を遂行する戦略兵器の試射が行われる前に、朝鮮半島とその周辺地域で軍事的緊張を醸成した自らの行為から国際社会が目をそらすように仕向ける。そして朝鮮の自衛権行使に「国際社会に対する挑発」のレッテルを貼り制裁を科そうとする。

世界を見渡せば、戦略兵器を開発する国は朝鮮だけではない。朝鮮の戦略兵器開発は、戦争の脅威から国の主権と領土を守るためのもので、朝鮮の利益を侵害しない限り、どの国にも脅威とはならない。 「火星砲-17」型試射が行われた事実に過剰に反応し、国際社会が一致して強硬姿勢をとることを主張する米国は、朝鮮の安全を脅かす戦争挑発者としての自らの正体をさらけ出している。

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