「社会主義の全面的発展」に関する法規解説掲載 「季刊 朝鮮経済資料」2022年第1号

「季刊 朝鮮経済資料」(発行=KAN経済研究所)2022年第1号が発行された。昨年末に行われた朝鮮労働党中央委員会第8期第4回総会の内容を掘り下げた書下ろしの論考、昨今の国家建設における重要キーワード「社会主義の全面的発展」に関連する法規解説全訳など、時宜にかなった4つのコンテンツを扱っている。

「勤労者の担当責任制実施において提起される重要問題」(解説:朴在勲、訳:柳学洙)は、『社会科学院学報』2019年1号に掲載された論文の全訳だ。社会主義企業責任管理制の下、各企業体内で実施されている勤労者担当責任制の内容と意義などについて論じている。社会主義企業責任管理制が各企業体に導入されてから10年が経つ。同論文では工業や農業などの経済の各分野において実施されている勤労者担当責任制の形態について紹介しており、解説者は「この問題についての理解を深めるのに一助となる」としている。

「民主朝鮮の法規解説:市・郡発展法について」(解説・訳:洪忠一)は、最高人民会議第14期第5回会議(2021年9月)で採択された市・郡発展法について、民主朝鮮が2021年10月29日から8回にわたって掲載した法規解説を全訳したもの。今号に第1章から第3章第3節までを、次号に第3章第4節から第5章までの解説記事を掲載する。解説者は、朝鮮が進める社会主義の全面的発展において重要なポイントの一つである地方建設を法的に保障するのが市・郡発展法であり、その法規内容は朝鮮の地方政策を垣間見るうえで大いに参考になると述べている。

「5カ年計画初年度の実績と今後の見通し」(姜日天)は、党中央委第8期第4回総会で討議された2021年度の総括と22年度の計画を踏まえて、5カ年計画初年度の実績を確認し、22年以降の見通しについて検討した。内閣の活動報告や朝鮮中央通信、労働新聞などの朝鮮メディアの報道に基づいて筆者が作成した昨年度の経済計画の遂行率一覧を見ると、多くの部門で計画を超過遂行あるいは前年度の生産量を凌駕したことがわかる。

「【資料】農村の定義と生活水準に関するデータ」(文浩一)は、党中央委第8期第4回総会で示された新たな農村建設綱領を研究するうえで参考となりうる資料を整理したもの。筆者は「農村を学問的に捉えておくことは農村建設綱領の理解の手助けになると考える」との問題意識の下、まず朝鮮における農村の定義について産業をベースに解説し、農村の生活水準について①資産状況②電気③上下水道④出生と死亡⑤豊かさの指標―の5つの側面から整理した。

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