スクープ第2弾が公開に『監査法人トーマツに自己粉飾疑惑』 息詰まる攻防を再現

デロイトグループの監査法人トーマツの決算が粉飾されているのではないかという疑惑を内部告発と綿密な取材に基づいて伝える『監査法人トーマツに自己粉飾疑惑』。その連載第2弾となる「中」編が先ごろ、阿部重夫責任編集の新メディア「ストイカ・オンライン」と、調査報道を軸とするサブスクの「スローニュース」に同時掲載された。

取材を手掛けたのは、オリンパスの粉飾決算を調査報道で明るみに出した山口義正記者(チーム・ストイカ所属)。日本の四大監査法人の一角、有限責任監査法人トーマツを、内部告発資料に基づき3年越しで追跡した調査報道である。そこで浮かび上がったのは、顧客の企業向けにはソフトウェアの会計の「一括費用処理」を推奨しておきながら、自らの経理では法外な額の資産計上を行い、しかも資産計上しなければ赤字決算になっていた事実だった。

「中」編のタイトルは『内部通報、聞く耳持たず』で、以下の書き出しで始まる。

費用計上か、資産計上か。金額は妥当か、法外に高いのではないか? 匿名の公認会計士からわれわれに寄せられた膨大な資料は、日本を代表する監査法人の一つ、トーマツが自社開発・自社利用のソフトウェア「PMS One」を会計ルールに反して資産計上し、これをブラックボックス代わりの合同会社にトバして、赤字転落を回避していたことを示唆する内部資料の数々だった。そのファイルから、通報者と監査委員や金融庁との息詰まる攻防が浮かび上がる。

有力監査法人の決算が粉飾されていたのだとすれば、監査に携わることが困難になり、その結果、日本の有力・有名企業が監査を受けられないという“監査漂流”の恐れもあると記事の「上」編は指摘していた。続く第2回は、金融庁と内部通報者などとのやりとりを入手文書に基づき、リアルに再現している。一般には触れることがない監査法人の内部文書の数々。「調査報道スクープ」の真骨頂とも言える連載は、まだ続く。

※調査報道サイト「ストイカ」は、「フロントラインプレス」と提携関係を結んでいます。ストイカには『監査法人トーマツに自己粉飾疑惑』のほか、『「田中」日大の政官共犯者 松野官房長官「黒塗り」の足跡』といった調査報道スクープ、さらには重厚な読み物も掲載されています。また、フロントラインプレスは調査報道やノンフィクションのサブスク「SlowNews」との協働も続けています。

■関連URL
阿部重夫責任編集の新メディア「ストイカ・オンライン」での公開記事『監査法人トーマツに自己粉飾疑惑(中)内部通報、聞く耳持たず』(2022年3月21日)
SlowNewsでの公開記事『監査法人トーマツに自己粉飾疑惑(中)』(2022年3月21日)
『内部告発者の「誇り」と「悔い」 事件後の日々を追って』(フロントラインプレス・本間誠也、2017年6月14日)

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