ウェアラブル端末によるサイン伝達が可能に サイン盗み対策の一環

日本時間4月6日、メジャーリーグ機構は各球団に対し、「ピッチコム」というウェアラブル端末によるバッテリー間のサイン伝達を2022年のレギュラーシーズンで許可することを通達した。「ピッチコム」は試合のスピードアップやサイン盗み対策の一環として、昨季のマイナーA級や今季のメジャーのオープン戦などで実験的に使用され、概ね好評を博していた。捕手は前腕に「ピッチコム」を装着し、レシーバーを装着している投手や最大3人の野手に球種、守備位置などの指示を送ることができる。

マイナーの試合やオープン戦で実験的に使用されていた「ピッチコム」。2022年レギュラーシーズンの開幕を目前にして、公式戦での使用にメジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会からゴーサインが出され、各球団にはサイン伝達の手段として「ピッチコム」という選択肢が与えられることになった。従来のように捕手が指を使ってサインを出す必要はなくなり、試合のスピードアップやサイン盗み防止の効果が期待されている。レシーバーは投手のほか、最大3人の野手が装着でき、通常は二遊間とセンターの選手が装着することになるようだ。

昨季の9イニングの試合の平均時間は3時間10分7秒。これは過去最長だった。特に二塁に走者がいるときは、サインが読まれることを防ぐためにバッテリーが慎重になり、サインを切り替えて対応するケースが多い。「ピッチコム」の導入によってバッテリー間のコミュニケーションがスムーズになり、捕手がわざわざマウンドまで行ってサイン確認をする回数も減らせる可能性がある。

レイズのマイク・ズニーノ捕手は「これは本当に野球を変える可能性があるよ」とコメント。ロイヤルズのザック・グレインキー投手も「これまではずっと下を向いて(捕手の)サインを見ていたけれど、違いに慣れればいいだけだからね」と新たな技術の導入に前向きな姿勢を見せていた。ただし、「ピッチコム」の使用は強制ではなく、各球団や各選手に使用するか否かの選択権が与えられる。

前出のズニーノは「投手はサインを確認する代わりに、追加で2~3秒、回復の時間を持つことができるかもしれない」と他の点でもメリットがある可能性を指摘。「いろんなメリットがあるけれど、試合がスピードアップするのは間違いないだろうね」と語った。今季は各球団の捕手が「ピッチコム」を使用するシーンが多く見られそうだ。

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