防衛大卒業生の任官辞退者、在学中の支給手当は5億円 償還金制度導入は否定

過去に行われた防衛大学校卒業式

 5日の参院外交防衛委員会で防衛大学校(横須賀市)の卒業生の任官辞退者急増問題が取り上げられた。防衛省は今年の辞退者へ在学中に支給された手当の総額が5億円におよぶことを説明。実費回収に相当する償還金制度の導入については否定した。立憲民主党の田島麻衣子氏へ答弁した。

 防衛大卒業式は3月27日に行われ、卒業生479人のうち辞退者は72人にのぼった。岸信夫防衛相の29日の閣議後会見などによると、昨年より44人も増加。過去最多だった1999年の94人に次ぐ人数という。理由では「他業種へ就職」が33人、「家庭の事情・その他」が30人を占めた。

 防衛省担当者の答弁によると、学生1人当たりに支払われる手当は卒業までに約717万円で72人の総額は5億円を超す。

 田島氏は防衛医科大での任官辞退者への償還金制度を引き「防大も導入すべきだ」と提案。岸防衛相は「防衛医科大では医師国家試験の受験資格を得られるが防大にはそうしたメリットはない。制度導入で受験生の減少を招きかねない」などと導入を否定した。

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