小児通院費助成、川崎は小6まで 「取り残された」地域格差の解消求める声

小児医療費助成制度について案内する川崎市のパンフレット

 小児医療費助成制度を巡り、神奈川県内の各市町村が通院費の助成対象を少なくとも中学3年生まで拡大しているが、川崎市は小学6年生までに据え置いている。市は「国が一律に対応すべきだ」との考えで、国への要望活動に取り組んでいる。一方、周辺自治体と比べて「取り残された」格好に、市民から「地域間格差を解消してほしい」との声も上がる。

 同制度は病気やけがなどで医療機関にかかった場合、通院や入院費用のうち保険診療で支払う自己負担額を助成するもの。各市町村は、県の助成金に上乗せする形でそれぞれ独自の基準を設けている。

 県によると、入院費については、県内の全市町村が少なくとも中学3年生までを対象としている。通院費は、4月から湯河原町が対象を拡大したことで、川崎市を除く32市町村が少なくとも中学3年生までとなった。

 独自の給付金制度の終了に伴い、財源を確保したという湯河原町。担当者は「競争するわけではないが、住民の負担を考えれば格差はないのが望ましい」と話す。

 人口減少を背景に、各市町村は子育て世帯の転入を促す狙いもあり、同制度を実施している。約10年前から、通院費助成の対象を中学3年生までに拡大する動きが県内で目立つようになったという。

 川崎市は1973年に導入し、対象を段階的に拡大。2017年に小学6年生までとしたのを最後に見直していない。市は「国が一律に実施すべきだ」というスタンスで指定都市市長会と連携し、国に対して要望活動に取り組む。

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