阪神、初の連勝も「まだ目覚めたとは言えない」 OBが気になる“打線の流れ”

阪神・矢野燿大監督【写真:荒川祐史】

開幕19戦目にして巨人を相手に今季初のカード勝ち越しも「もう少し突き放す展開が欲しい」

■阪神 2ー1 巨人(16日・甲子園)

阪神は16日、本拠地・甲子園球場で行われた巨人戦に2-1で勝利し、開幕19戦目にして今季初の連勝とカード勝ち越しを決めた。チームとしては4回に64イニングぶりの適時打が生まれるなど、徐々に復調の気配を見せるが、現役時代にヤクルト、阪神など4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家の野口寿浩氏は「まだ阪神が目覚めたとはいえない」と見ている。

阪神は3回2死二塁から中野の遊撃内野安打を巨人・坂本が一塁へ悪送球して先制。4回には無死二塁から3試合連続で4番に座った大山が左翼フェンス直撃のタイムリー二塁打で追加点を奪った。先発のウィルカーソンは6回1失点の好投を見せ、その後はリリーフ陣が無失点で繋いで僅差のゲームをものにした。

待望の適時打が生まれたものの、終わってみれば、打線は5安打2得点と繋がったとは言い難い。2得点のうち1点は相手のミスから生まれたものだった。野口氏は「最後まで守り切っての勝利は素晴らしいが、先制の場面は(巨人のミスで)もらった点。もう少し突き放す展開が欲しい。中押し、ダメ押しといければ、去年の前半のような野球ができるはずです」と野口氏は指摘する。

阪神・近本光司【写真:荒川祐史】

3番・近本も「相手が一番、嫌がるのは1番で出塁し、塁上でプレッシャーをかけられること」

敗戦続きだったチームは14日の中日戦(バンテリンD)から1番に中野を置き、2番に佐藤輝、3番に近本、4番に大山を並べる新打線を組んでいる。16日の巨人戦こそ佐藤輝の逆転2ランで白星を掴んだが、野口氏は「2番の佐藤輝と3番の近本がまだ上手く繋がっていないように見えます」と分析している。

ここまで近本の求められていた役割は1番打者として出塁し、俊足を生かして塁上を駆け回ることだった。今季は開幕から好調を維持していた。その中での打順変更に野口氏は「レギュラーシーズンでは何度も対戦する。その中で相手が一番、嫌がるのは1番で出塁し、塁上でプレッシャーをかけられることではないでしょうか」という。

これまでは連敗や勝率などがクローズアップされてチームは目に見えない“重圧”がかかっていたはず。連勝したことでようやく落ち着いてプレーすることが可能になるのではないか。1番に近本を戻し、2番から中野、佐藤輝、大山と並び、本来の力を発揮して上位打線が固定できれば、相手にとって脅威になるのは間違いない。

今季最多4万354人の観客が集まった甲子園で連勝「これで落ちついて試合に臨めるのは確か」

「この試合は相手のミスもあり、もらった勝ちとも言えます。まだ阪神が目覚めたとはいえない。ですが、これで落ち着いて試合に臨めるのは確かです。今後は1、2、3番が鍵になってくると思います」

これで19試合を消化して3勝15敗1分となり、勝率は.167まで上昇。今季最多4万354人の観客が集まった甲子園でファンは大盛り上がりとなった。17日はガンケルが先発。巨人との“伝統の一戦”で同一カード3連勝を飾ることができるか注目だ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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