河合その子「青いスタスィオン」後藤次利が彩ったエキゾチックなサウンド♪  作詞:秋元康、作・編曲:後藤次利、恋心の情景を思い浮かばせるアイドルソング

ヒット曲 “イントロ秒数徹底調査” 1986年のシングルTOP100篇

1986年シングルTOP100のイントロ秒数は?

リマインダーで取り上げている1978年~1991年までの14年分を、1年ごとに年間シングルランキングTOP100のイントロ平均秒数を調査し、その結果を紹介していく連載企画。

今回は、“1986年” を調査します。その年間ランキングTOP10のラインナップと調査結果がこちら。

1位 CHA-CHA-CHA / 石井明美(50秒)
2位 DESIRE -情熱- / 中森明菜(12秒)
3位 仮面舞踏会 / 少年隊(8秒)
4位 BAN BAN BAN / KUWATA BAND(16秒)
5位 My Revolution / 渡辺美里(29秒)
6位 恋におちて -Fall in love- / 小林明子(20秒)
7位 ジプシー・クイーン / 中森明菜(2秒)
8位 スキップ・ビート / KUWATA BAND(19秒)
9位 OH!! POPSTAR / チェッカーズ(9秒)
10位 青いスタスィオン / 河合その子(16秒)
※(カッコ)の数字はイントロの秒数

調査方法は、年間シングルランキングTOP100にランクインした曲のイントロ秒数を、0秒、1~2秒、3~10秒、11~20秒、21~30秒、31~40秒、40秒以上… の7つの長さに分けて集計していきます。1986年の結果をグラフにすると、こうなります!

平均秒数は16.8秒。前年の1985年の平均が19.2秒。1年前と比べると、2.4秒も短くなったという結果でした。1年で2秒以上の差がでたのは、この調査で初。

この理由は、演歌のランクインが大幅に減り、1985年からスタートしたフジテレビのバラエティ番組『夕やけニャンニャン』から誕生したアイドルグループ、おニャン子クラブと、このグループのメンバーのソロ曲や派生ユニットの台頭があげられます。 イントロ秒数「3~10秒」の曲が、1985年は11曲だったのに対し、1986年は19曲と8曲増。ラインナップをピックアップして観てみると…

22位 恋のロープをほどかないで / 新田恵利(5秒)
35位 渚の『・・・・・』 / うしろゆびさされ組(6秒)
52位 落葉のクレッシェンド / 河合その子(9秒)
57位 私は里歌ちゃん / ニャンギラス(6秒)
74位 あじさい橋 / 城之内早苗(8秒)

改めて、おニャン子クラブメンバーのソロやユニットが多くランクインしていたことがわかりあす。歌やダンスのレッスンを受けていたわけではない、普通の、言ってしまえば “素人” の女子高生で結成されたグループだったので、歌番組では早く顔を映してもらうための戦略として、すぐに歌い出しがくるように、イントロを短くしていたのではないでしょうか。

河合その子のサードシングル「青いスタスィオン」

今回、取り上げるのは、年間シングルチャート10位の、河合その子「青いスタスィオン」。

河合その子は、『夕やけニャンニャン』のオーディションコーナー「ザ・スカウト アイドルを探せ!」に合格し、内海和子、富川春美と共に、おニャン子クラブのメンバーとして活動をスタート。会員番号は12番。

その後、1985年9月1日に「涙の茉莉花LOVE」で、おニャン子クラブメンバーで最初のソロシングルデビューを果たし、同年に「落葉のクレッシェンド」を発売。翌年、1986年3月21日に本人出演の森永製菓『HI-SOFT』のCMソングに起用されたソロ3枚目のシングルが「青いスタスィオン」です。

秋元康×後藤次利、歌詞とサウンドで表現する情景

「スタスィオン」は、フランス語で、綴りは英語と同じ『station』。「立つ、止まる」「停留所」を意味する言葉。列車に乗り都会へ旅立つ、夢をあきらめきれない恋人を、「行かないで」と思いながらも、駅で見送る思いをつづった秋元康の歌詞にメロディとアレンジを彩ったのは、後藤次利。

イントロから、列車の「ガタンゴトン」と聴こえる音をリズム隊の基本とし、アコーディオンの音色を響かせ、強がりながらも彼氏の受け入れた恋心を、エキゾチックなサウンドとして演出。私は80年代にリリースされたアイドルソングの中で、最も鮮明に歌詞とサウンドで表現した情景が浮かぶ曲は「青いスタスィオン」だと思います。特に、曲の3分29秒で、一度音が止まり、

 列車のベルが風に響けば
 そんな強がりも消える

… と歌い出すパートの、未練を断ち切り、新しい道へ進んでいく姿の描き方が秀逸。

売上はおニャン子メンバーソロで最高を記録

売上枚数34.1万枚は、おニャン子クラブ解散までにリリースされたメンバーのソロシングルの中で最大の売上を記録。記録を観るだけでも、社会現象を巻き起こした “おニャン子ブーム” の中でも、良い曲という認知が最も高かったことがわかります。

2020年代に、サブスクリプションサービスに登場し、またブレイクしてほしいと思う曲ナンバーワンです。ミュージックビデオが制作されて、その映像に映った「青い駅」が聖地巡礼で話題になったりしたら面白いなぁ… とか妄想しながら、今日もサブスクでこの曲を聴いています。

カタリベ: 藤田太郎

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