来海沢地滑り災害 避難指示を一部解除 復旧工事が本格化

 昨年3月4日に糸魚川市来海沢で発生した地滑り災害について、糸魚川市は20日正午、融雪期に備え2月14日に発令していた県道西側地区の避難指示について、一部解除した。同日午前、市民会館3階会議室で住民説明会を実施し、今後の対策工事の状況、県道の一部交通規制、一部解除の内容などについて説明した。

避難指示の一部解除を前に開かれた住民説明会(20日午前9時30分すぎ、市民会館3階会議室)

 一部解除の範囲は、県道西側地区の一部、5世帯11人。危険性を踏まえ2世帯6人の避難指示は継続される。

 一部解除の理由として、積雪が減少し、雪崩や土砂災害等の発生の恐れが少なくなったこと、地下水位などの観測データに異常が見られないこと、警戒避難に関する観測機器が配備され、警戒避難体制が確保されたことの3点が挙げられた。

 説明会には、住民23人が参加した。冒頭で井川賢一副市長が、避難指示の一部解除決定を報告。引き続き今後の対応について、県糸魚川地域振興局農林振興部と地域整備部が対策工事や観測の状況、同地域整備部が県道の交通規制、市消防本部が避難指示の一部解除と警戒避難体制、デンカ株式会社が海川第1送電線の災害復旧工事に関して説明した。

 説明によると、応急対策工事は昨年度内に完了。調査結果に基づき本年度は、地滑りを防止する災害復旧工事を推進し、年度内の完成を目指す。併せて、土砂流出を防止する治山施設復旧工事の進ちょくを図る。通常の5倍規模の構造物で、難工事が予想される。

 質疑応答では警報システム、根知ルート等の県道の迂回(うかい)路などについての質問、確認があった。

 神喰重信区長は「地元としてできることは最大限協力する。工事に支障のないよう、早期に完了するよう協力したい」と話した。

 市は市営住宅に避難中の世帯について、今後の再度の避難指示発令に備え、引き続き利用できるよう確保する。避難指示が残るエリアは、住民・関係者の立ち入りを許可する。

 解除エリアに自宅があり、家族3人で市営住宅に避難していた40代女性は、母が高齢で障害を有したため、もうしばらく残ると判断。「雨や雪に心配せず来海沢で暮らせる日が来れば」と願った。

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