ヴェルカ「貫いた堅守速攻」 アウェーの劣勢 切り開く

【岩手-長崎】第2クオーター4分、ヴェルカのフォワード・ボンズがシュートを狙う=盛岡タカヤアリーナ

 16点差をつけた第4クオーター残り5秒、ベンチのメンバー全員が立ち上がってハイタッチを交わした。試合終了のブザーが鳴ると、選手、スタッフが歓喜の輪をつくり、腕を突き上げる。長崎ヴェルカが参入初年度でB3優勝とB2自動昇格を決めた。
 優勝マジック「1」で臨んだ一戦は岩手のホーム最終節。相手は2戦目に中心選手の引退セレモニーも控え、気合十分だった。地元チームの好プレーに大勢のファンが沸く。ヴェルカは前半、内外角シュートの精度に苦しみ、流れをつかめなかった。
 4点ビハインドでロッカールームに戻ったハーフタイム中、先に試合を終えた2位A千葉が静岡に敗れ、ヴェルカの優勝がこの時点で決定。だが、伊藤監督は「自分たちのやることに変わりはないから、選手には話さなかった」。
 アウェーの劣勢を切り開いたのは、やはり持ち味の堅守速攻だった。ガード松本が「試合の後半になるほど調子が良くなる」と日々の練習で培った脚力でギアを上げると、後半一気に自分たちのペースに持ち込んだ。指揮官も「後半の修正は1年を通してできていたこと。優勝を意識した部分もあったと思うが、誇りに思える試合だった」とたたえた。
 試合を終え、ロッカールームでひとしきり喜びを分かち合った後、ほとんどの選手がコートに戻って練習を始めた。ガード高比良は「シュートが入らなかったので。いい形で2戦目を終えてホームに戻りたい」。コロナ禍でいつがラストゲームになるか分からなかった今季。ヴェルカの成長を象徴する姿がそこにあった。


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