「10%が肝臓移植必要」となった原因不明の肝炎、 国内初確認

 ここ1年余りのあいだに、欧米で幼い子どもを中心に原因不明の肝炎が相次いで報告されているが、厚生労働省は25日、国内でも16歳以下の子ども1人が同様の症状で入院していることを明らかにした。世界的にも未だ原因は特定されておらず、同省では慎重に調査を進めている。

欧米でこれまで10歳以下の169人確認

肝炎ウイルス検出されず原因不明

 WHO(世界保健機関)に報告によると、昨年1月から今月21日までにイギリスを中心に欧米12ヶ国で、主に10歳以下、生後1か月から16歳までの子どもで急性肝炎の症例が急増している。これまで少なくとも169人の患者が報告されており、このうち約10%の17人もの患者が肝臓の機能が低下し肝臓移植が必要な状況となり、亡くなったのは1人となっている。

 報告されている症状としては、尿の色が濃くなる、便の色が薄くなる、皮膚などが黄色くなるといった黄疸(おうだん)、下痢、おう吐、腹痛、関節痛、筋肉痛。肝炎といえばウイルスによるものがまず想定され、これまでA型からE型まで原因となるウイルスが特定されているが、これまでの患者からは肝炎ウイルスは検出されていない。一方、うち74例では結膜炎などの原因となる「アデノウイルス」が検出されているが、関連性は現時点では不明だ。

 こうした状況の中、厚生労働省は25日、国内でも同様の原因不明の肝炎の症例が発生していると発表した。患者は16歳以下の子ども1人で、現在、入院し治療を受けている。この患者はアデノウイルスには感染していないという。同省はこの肝炎について「現時点で国内で増加している状況にはない」と分析しているが、海外の症例を引き続き注視するとともに、自治体に対して注意喚起と症例の報告を求めている。

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