【おんなの目】 午後三時のバス

 山口市にはコミュ二ティバスが二ルート走っている。住宅街を通る小型バスで、路線は、山口駅を軸に東西に分かれている。もっと小さく地域を区切って走っているコミュニティバスや乗り合いタクシーもある。「あじす☆きららコミュニティタクシー」・「佐山地区・ふれあい号」・「小郡地区・サルビア号」・「嘉川地区・みんなでGO!」等々。生活のためのバスである。利用者は、車のない人、高齢者や子供達が多い。

 私は市の西側の路線を通るコミュニティバスを利用する。日常の買い物には、たいてい午後一時のバスを利用し、三時のバスで帰宅する。午後三時は、夕方の入り口で少し気が急いてくる頃である。昼間の力強い日差しも陰って不安な気持ちになる。

 バスの中には、大きな買い物袋を手にした女性が多い。袋から大根や牛蒡が覗いている。夕食用に料理されるものだろう。ショッピングカートを持ち込んでいる人もいる。乗り降りには、ヨッコラショと掛け声がいる。食料品買い出しは力仕事である。市の優待パスを利用している高齢者が多い。彼女達の奉仕の精神で家族への毎日の食卓が整えられる。出典は忘れたが、日本女性の家事労働時間は世界一長いらしい。

 午後三時のバスは、少しお疲れの人達を乗せて走る。

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