ケンムンの館(宇検村)が体験型ゲーム~「見えないモノを感じる観光」始動

鹿児島県宇検村(奄美大島)の観光交流施設「ケンムンの館」を管理運営する一般社団法人「巡めぐる恵めぐる」(新元一文代表理事)は5月1日、観光地域デザインのコンセプトに「見えないモノを感じる観光」を掲げると発表した。奄美に伝わる妖怪「ケンムン」を通し、魅力ある観光地域づくりをはじめ、地域の文化醸成などに力を注ぐ。同日、コンセプトに基づいた企画第一弾として、体験型ゲーム「ケンムン謎とき」を始動。村内外から約30人が参加した。

同館は4月1日にオープン。奄美大島の世界自然遺産登録による観光客の増加を見据え、産直市場や観光案内所、グリーンスローモビリティ発着所などの機能を備えた複合施設。プロポーザル方式で同法人が指定管理者に選定された。開館1カ月を迎え、地域デザインのコンセプトを打ち出し、事業を本格化させる。

発表式で、元山公知村長は同村振興育英財団が発行する「なぎ物語」の一文を読み上げ、「焼内湾の景色は急ぎ足で通りすがる観光客には(中略)単調な風景としか写らないでしょう。それでもいいのです。(中略)シマ(集落)の人たち自身が、そして焼内湾に惚(ほ)れぬいた人たちが、ゆっくり時間をかけて静かに味わうほうがよいのです」と紹介。

また、先人の言葉をくみつつ「風土や人々の営みなど、目に見えない豊かな価値こそ、村の持続可能な観光へとつながる。ケンムンはその象徴。コンセプトが多くの人の心に届くことを願う」と述べた。

「ケンムン謎とき」は、村内に点在する6体のケンムン像を探し、設置されたQRコードや看板から隠された文字を解き明かして答えを導き出すゲーム。像と一緒に写真を撮るミッションもある。新元代表理事は「ケンムンは自然を守るために生まれた存在であり、遊びを介し、シマが育んだ風土を感じてほしい」と期待した。

「謎とき」に挑戦した奄美市の冨永圭一さん(46)と聖子さん(40)夫婦は「ケンムンの物語に触れ、親から子への伝聞を大切にされてきていることが分かった。一遍にゲームを網羅するより、一つ一つの集落を時間をかけて巡るのがお勧め」と話した。

ゲームの正解者にはオリジナルのステッカーが贈られるほか、抽選で村の特産品などが当たる。期間は6月26日まで。

南海日日新聞〔写真〕ケンムン像を囲んで写真を撮る子どもたち=5月1日、宇検村

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