神奈川の「おれおれ詐欺」被害額 4月だけで2億1200万円 3年2カ月ぶりの高水準

神奈川県警

 神奈川県警が4月に認知した特殊詐欺の統計(暫定値)で、親族になりすます「おれおれ詐欺」の被害額が約2億1200万円(前月比約1400万円増)に上り、約2億4900万円だった2019年2月以来、3年2カ月ぶりの高水準に達したことが11日、県警のまとめで分かった。件数は前月比8件減の61件。手口別でもおれおれ詐欺が最多で、被害額の7割近く、件数の約5割を占めた。

 特殊詐欺全体の被害額は同約1600万円増の約3億1700万円で、3カ月連続の増加。件数は同38件減の127件だった。

 県警が4月に認知したおれおれ詐欺では、鎌倉市の80代男性が現金3千万円を詐取される事件があった。男性宅には事前に長男を装った男らから「トイレでかばんをなくした」「仕事の契約に3千万円必要」などと電話があった。約2週間後にも、同市の70代女性が現金1千万円をだまし取られる被害があった。

 県警は同月をおれおれ詐欺対策強化月間と位置付け、戸別訪問や金融機関への働きかけ、ATMのパトロール強化など、全54署で集中的に被害抑止に向けた取り組みを行った。それでも被害額の拡大には歯止めがかからず、県警幹部は「特効薬はなく、引き続き注意喚起と取り締まりの両輪で地道に進めていくしかない」と気を引き締める。

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