もしもの時は社寺、教会へ避難を 災害時の地域協力考える

 社寺や教会にも避難を─。災害時の宗教施設の活用を考えるセミナーが18日、東京都内であった。避難先が不足した東日本大震災などを教訓として、市町村の対策に協力する宗教施設が増えている現状を共有。そうした避難施設が全国で4千カ所を超えたとの調査結果も報告され、団体や宗派などの違いを超えて、協力する施設を拡大していく方針を確認した。

 災害直後の緊急的な避難場所や、被災者が生活する避難所は主に小中学校や公民館などが指定されるが、施設も被災して開設できないケースがある。三陸沿岸が壊滅的な様相を呈した東日本大震災では、100カ所以上の宗教施設が臨時の避難場所として使われたという。

 こうした経緯を踏まえ、宗教と災害の関係に詳しい大阪大大学院の稲場圭信教授は「避難所などが制度化される以前は『地震が起きたら、あの広い境内へ』といった行動が地域の知恵としてあったが、そうした資源が忘れられている」と問題提起。一方で「東日本大震災などを機に見直されるようになり、コロナ禍で取り組みが加速した」と強調した。

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