横浜市鶴見区の鶴見川で溺れかかっていた女性(24)を救助したとして、鶴見署は24日、同市青葉区に住む会社員大坊重哲さん(28)に感謝状を贈った。かすかな声を頼りに女性を見つけ出し、その後も励まし続けた。終始冷静な判断ができたのは、両親の教えがあったからだという。
「助けて、誰か」─。
10日午前2時ごろだった。大坊さんが鶴見川で趣味の夜釣りをしていると、遠くから誰かの声が聞こえた。子どものような高い声で、最初は悪ふざけかとも思ったが、辺りは暗闇で時間帯も未明。よく耳を澄ますと、再び聞こえてきたのは、確かに女性の叫び声だった。
とっさに持っていた釣りざおを手放し、駆けだした。「ためらいは一切なかった」。
聞こえてくる声を頼りにライトで川を照らしながら、必死に捜した。数分ほど、ひたすら上流側へ走ったところで、肩まで水に漬かって溺れかけた女性を発見。すぐさま110番通報した。
その後も冷静だった。川岸にある転落防止用の柱に自分の脚を絡ませ、川に落ちないようにしながら、右手を差し出して女性の手を握った。大坊さんは女性を落ち着かせようと話しかけ、署員が駆けつけるまで励まし続けたという。
この日、感謝状を渡した片山真署長は「非常に勇気ある行動だ」とたたえた。