相次ぐ減産、業績を左右 神奈川県内の自動車部品メーカー

 神奈川県内の主な自動車部品メーカーの2022年3月期連結決算が出そろった。新型コロナウイルスの感染拡大の余波や、車載用半導体供給不足により、日産自動車(横浜市西区)など完成車メーカーで、生産台数を絞る減産が相次いで発生。続けざまに起きた混乱が、各社の業績を左右した。

 「これまでもリーマン・ショックや東日本大震災で生産現場が混乱した。しかし、複数年にわたって混乱が続いたのは、長く業界にいるが初めての経験だ」

 ある部品メーカー幹部がこう振り返るように、20年の初頭から世界を覆うコロナ禍は、自動車業界に混迷をもたらしている。

 上期には部品メーカーの工場が多数立地する東南アジアで、感染拡大が発生。ロックダウン(都市封鎖)を行う国も出たため、完成車メーカーへの部品供給が滞った。下期には、車載用半導体不足が深刻化。工場で車両の生産ができなくなる事態にも陥った。

 立て続けに起きたトラブルにより、自動車生産台数は上向かなかった。特に、これまでの販売台数を追う方針から転換した日産の減産幅は大きい。

 同社が公表した21年4月~22年3月の世界自動車生産台数は、約339万台。前年同期の約380万台から40万台以上も下回っている。

 こうした背景もあり日産からの受注が多いユニプレス(同市港北区)、河西工業(寒川町)の2社は最終赤字を計上。ニッパツ(横浜市金沢区)も最終黒字となったものの、受注減などが尾を引き、自動車関連部門は引き続き赤字だった。

 一方で、同じく日産系のヨロズ(同市港北区)は最終黒字だった。徹底した固定費削減に努めたほか、工場の操業スケジュールを生産量に合わせて調整するなどの取り組みが奏功した。

 またトラックメーカーからの受注が多いIJTT(同市神奈川区)、プレス工業(川崎市川崎区)は、引き続き最終黒字を確保。“日産依存”の低いニフコ(横須賀市)も黒字だった。

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