東京ガス、脱炭素化の都市ガス生成 横浜・鶴見で研究着手

今年3月、横浜テクノステーションでメタネーション施設の開所式が行われた(東京ガス提供)

 地球温暖化の要因となる二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(CN)」。企業や自治体が実現に向けた取り組みを進める中、日本のCNを支える壮大なプロジェクトが横浜・鶴見で動き出した。料理、風呂、電気といった現代の快適な生活に欠かすことのできない「都市ガス」のCN化だ。

 都市ガスは、石油や石炭と比べて環境負荷が低いことが特長の燃料。しかし、世界的な環境意識の高まりを受け、燃焼時にCO2を排出する課題が指摘され始めている。

 これを克服しようとしているのが、東京ガス(東京都)だ。

 東京湾に面した京浜工業地帯の一角にある、東京ガス横浜テクノステーション(横浜市鶴見区)。同社はここで、水素とCO2を反応させて都市ガスの主成分・メタンを生成する「メタネーション」技術に関する研究に今春、乗り出した。

 メタネーションは、発電所や工場などから回収したCO2を原料に使えば、燃焼時に排出されたCO2とで相殺され、実質排出量ゼロになる。ガスの原料を合成メタンに置き換えても、都市ガス導管など既存のインフラ設備を引き続き活用できる利点もある。ガスの脱炭素化を実現する次世代の技術として今、注目を集めている。

 同社が研究開発を進める方針を打ち出したのは、2019年11月に公表した長期ビジョン「コンパス2030」。21年11月にはCN化に向けたロードマップを策定し、自社が供給する天然ガスのうち、合成メタンを30年に1%(約8千万立方メートル)導入する目標を掲げた。

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