ゲーム感覚でリハビリを-。長崎県佐世保市の社会福祉法人「宮共生会」は障害がある子どものリハビリに、デジタルアートを用いた新たな手法を取り入れている。子どもの負担を軽くする県内では例がない方法で、関係者は「子どもたちに新しい選択肢を提供したい」としている。
宮共生会が運営する同市の児童発達支援事業所「チームみらいときっず」。事業所を利用する辻勝斗ちゃん(2)が壁に映し出された車や気球、クジラなどのデジタルアートを触ると車は左から右に、気球とクジラは下から上に動いた。映像に触れるため手を伸ばしたり動かしたりするシンプルな動作がリハビリにもなるという。
デジタルアートとセンサーを使ったリハビリで通称「デジリハ」。NPO法人「Ubdobe(ウブドベ)」(東京)が、普段のリハビリと併用できるツールとして2018年から約3年かけて開発。痛みを伴い単調な動きが続きがちなリハビリに、音楽と映像を取り入れゲーム感覚で動きを促す。達成具合を点数表示することもできる。
リハビリしたい部位や動作に応じたゲームを収録。手を握ったり開いたりするとセンサーが反応して映像の中で果物をつかんだり、手を上下左右に動かすと花火が打ち上がったりする。制作には作業療法士や理学療法士らが監修しており、自然と肩関節や肘、手首などの有効な動きにつながるのが特徴だ。
「チームみらいときっず」は1月にデジリハを導入。医療的なケアが必要な子どもを中心に現在2歳~中学生の約10人が利用している。中村健太郎事業所長(40)は「リハビリ中の表情が明るい。子どもが笑ってくれれば見守る大人も楽しい」と効果を実感。ゲームを通じて子どもたちが得る達成感も自信になっているという。
デジリハは月額や短期間での利用に応じている。問い合わせはデジリハのサイトから。「チームみらいときっず」で見学もできる。