元気に生きてます 「たくましい姿見守って」 高田城址公園北堀のハクチョウ

 上越市高田城址公園の北堀(高田北城高前)に、今年3月から、羽が折れて飛べないオオハクチョウ1羽が暮らしている。ハクチョウの姿を見守る近隣住民や市民からは、保護を望む声が聞こえてくる。同公園を管理する上越市などに、ハクチョウの現状と対応について聞いた。

高田城址公園北堀のオオハクチョウ。水面に頭を突っ込み餌をついばんでいた(4日午前9時30分ごろ)

◇自然に任せ保護時期検討 県や市
 4日、ハスの葉の間を縫うように泳ぐハクチョウの姿を確認した。しきりに首を水面に突っ込んでは、餌となるハスの根などをついばんでいた。悠々と泳ぐその姿は、人間の心配などどこ吹く風、といった様子だ。
 同公園では7月16日に「観蓮会」が開幕する。市民が心配しているのは、これから密生するハスの葉や根によってハクチョウが自由に泳ぎ回れなくなり、餌を取れず衰弱死してしまうのではないか、ということ。
 上越市環境保全課は4月28日、ボートを出して救助を試みた。しかし警戒心の強いハクチョウは逃げ、保護することはできなかった。
 同公園を管理する市都市整備課の山辺志信副課長は「ハクチョウは元気で、保護することが困難な状況」と話した。野生鳥獣を無理に保護しようとすると、網を掛けられた衝撃で死んだり、ケージの中で暮らすことで衰弱してしまったりする事例があるという。
 また学識経験者など専門家によれば、お堀のハスが伸びてもハクチョウは泳ぎ回れるので全く心配はいらないといい、「餌もあり、あの場所にいることが、ハクチョウにとって一番いい環境」との見解を示しているという。
 衰弱し、保護すべき状況になった野生鳥獣は、県愛鳥センター紫雲寺さえずりの里(新発田市)に搬送され治療を受ける。
 県上越地域振興局健康福祉環境部(上越保健所)は「ハクチョウが生きようとしている限りは、人間が手出しすべきではない」とし、「自然に生きる動物は、自然に任せるのが一番。それはどの動物にも言えること。あくまでハクチョウ・ファースト。保護すべきときがくるまで見守るしかない」と話した。
 山辺副課長は「市民の皆さんには、たくましく生きる姿を見守ってほしい」と呼び掛けている。

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