中国民間自動車会社が開発した「吉利01組」衛星9機の打ち上げに成功 自動運転技術の実現へ

中国は現地時間6月2日、「長征2C」ロケットの打ち上げに成功しました。このロケットには、中国民間大手自動車メーカーの浙江吉利控股集団有限公司の一部である浙江時宙道宇科技有限公司(Geespace)によって開発された衛星「吉利01組」(Geely-01)9機が搭載されていて、車両の安全な自動運転技術の実現に向けた第一歩となりました。

【▲ 西昌衛星発射センターから打ち上げられる長征2Cロケット(Credit: Geely)】

9機の衛星を搭載した長征2Cは、北京時間2022年6月2日午後12時00分に、西昌衛星発射センターから打ち上げられました。衛星の打ち上げを担当した中国航天科技集団(CASC)によると、衛星は無事に所定の軌道へ投入されたということです。打ち上げ後、新疆ウイグル自治区コルラにあるGeespaceの地上局が衛星との通信に成功し、全ての機能が順調に動いていることを確認しました。

衛星は、浙江時宙道宇科技有限公司(GeeSpace)によって開発されました。Geespaceは、吉利科技術集団に所属しています。衛星の目的は、ICVと呼ばれる自動運転技術を搭載した車両に用いる技術実証であるということです。ICVとは、Intelligent Connected Vehicleの略で、人工知能や高度な通信技術を用いて、安全性の高い自動運転を可能とする自動車の総称を指し、中国国内で注目されています。

【▲ Geespaceが構築する衛星コンステレーション「Geely Future Mobility Constellation」のイメージ(Credit: Geely)】

今回打ち上げられた衛星は、Geely Future Mobility Constellationと呼ばれる衛星コンステレーションを構成する衛星の一部で、今回が初打ち上げとなります。この衛星コンステレーションは、240機の衛星で構成されるということです。まず第1期として、2025年までに72機の衛星を軌道上へ配置します。その後、第2期として168機の衛星を順次打ち上げるということです。

【▲ 工場で出荷を待つ「吉利01星」(Credit: Geely)】

このコンステレーションは、センチメートル級の正確な位置情報を提供し、自動運転技術を搭載した車の安全な自動運転を実現するために用いられます。また発表によると、運用が始まれば、民間において世界で初めてPPP-RTK方式(精密単独測位方式)を用いて測位を行うプロバイダーの一つになるといいます。サービスは中国国内からスタートし、順次アジア太平洋地域に提供される予定で、2026年以降に全世界へ拡大する計画ということです。また、物流会社と協力して、リアルタイム運送管理などを取り入れていきたいとしています。

衛星を打ち上げた長征2Cロケットは、全長42m、重量242tのロケットです。今回の打ち上げにより、同ロケットによって1回で打ち上げられた衛星の最大数が更新されたということです。2022年では今回が4回目の発射となり、前回の5月20日に実施された同型ロケットの打ち上げから約10日あまりしか経たずに打ち上げられました。なお、打ち上げサービスは、中国長城工業集団有限公司(CGWIC)がGeespaceと契約して、実施されました。

【▲ ロケットのフェアリングに格納される「吉利01」衛星(Credit: Geely)】

Source

  • Image credit: Geely
  • CASC \- 一箭九颗“吉利”星!长二丙单次发射卫星数量创新高
  • Geely \- Geespace Successfully Launches First Nine Satellites

文/出口隼詩

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