葉山の被爆者が託す「平和の帯」 核禁止条約参加の学生に

「和」や「peace」との文字があしらわれた平和の帯

 核兵器の保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約の初の締約国会議(21~23日)に合わせ、開催地オーストリアに渡航する学生2人が、長崎で被爆した葉山町の女性から借りた特別な帯と着物を身につけて現地で活動する。同条約を批准していない日本はオブザーバー参加もしない見通しで、ウクライナ侵攻を巡る「核の脅し」も現実となる中、核なき世界への願いが若者に託された。

 「平和も着物もアピールしてほしいわ」。県原爆被災者の会葉山支部会長で、着付け講師の福島富子さん(77)が、「和」や「peace」との文字をあしらった二つの「平和の帯」を前にほほ笑んだ。

 隣で振り袖を選んでいたのは、上智大3年の中村涼香さん(22)と徳田悠希さん(20)。若者団体「ノー・ニュークス・トーキョー」のメンバーで、ウイーンで開かれるNGOの催しや会議傍聴などを通し、核廃絶への思いを発信する。

 中村さんは「唯一の戦争被爆国が会議に不在ということの意味は他の国々とは全く違ってくる。日本の人は核兵器廃絶を願っていると伝えなければ」とし、「着物はすごく心強い」と笑顔を見せた。

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