川崎・チネチッタ、100年の歩み伝える 都内でポスターや写真など資料30点展示 

チネチッタの歩みと、1930年代の川崎市中心部の様子を紹介する岡田主任研究員=東京都中央区京橋の国立映画アーカイブ

 JR川崎駅前の映画館「チネチッタ」(川崎市川崎区)を運営するチッタグループが今年、創業100周年を迎えるのに合わせ、国立映画アーカイブ(東京都)で開催中の企画展「日本の映画館」に特設コーナーが設けられた。劇場中心に街中で映画文化を盛り上げた歴史を伝える資料約30点を展示している。7月17日まで。

 新型コロナウイルス禍で劇場が休業、配信での映画観賞も広まった中、シネコンではなく独自の個性を持つ大劇場を彩った大型の看板絵や宣伝手法をはじめ、映画館を「文化」として振り返るため同アーカイブが企画した。中でもチッタグループの活動を「市民と映画をつなげたい思いが強い」とテーマの一つに選んだ。

 同グループの歴史は1922年、東京都荒川区東日暮里の映画館「第一金美館」オープンにさかのぼる。36年に川崎市に進出、41~45年に業務委託を含め計27館を運営した。87年に「チネチッタ」を開業、2003~06年は観客動員数全国一を記録した。

 展示では、ポーランド映画「地下水道」公開時の1957年ごろ、作品を宣伝しようとチネチッタ通りのマンホールに人が入って看板を立てる写真や、損傷フィルムを「供養」しようと「フィルムの精」に扮(ふん)したダンサーが公演する様子など、個性的で奇抜な宣伝やにぎわいが伝わる活動の数々を伝える。

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