〈じょうえつレポート〉クリーン活動30回 官民連携し景観整備 青田川を愛する会 憩いの場、活性へ注力

 上越市高田地区を流れる青田川。環境保全団体の「青田川を愛する会」は、市民が憩う河川公園を目指し、30年以上にわたって青田川の景観整備に尽力してきた。23日には30回目となる清掃活動「クリーンアップ活動」を実施する。4月に同会会長に就いた本城文夫さん(81)に、同会が果たしてきた役割や成果、まちづくりとの連動、次世代への継承などに対する思いを聞いた。(報道部・山田里英記者)

 青田川は南葉山の湧水を源流とし、高田地区の19町内を通って関川に合流する約15キロの川。約400年前に高田城の防御の堀として、人工的に流れを変えて掘られた歴史がある。

 現在は遊歩道が整備され、鳥のさえずりや四季折々の自然が楽しめる河川公園として、市民に親しまれているが、40~50年前は近隣の工場や家庭からの汚水が流れ込み、魚がすめない状況になっていた。

 危機感を抱いた住民有志が1991(平成3)年、同会を発足。行政機関に要望し、川の環境改善を訴えた。そして県は河川改修事業に着手。23年の月日と27億円を掛けた改修事業により、かつての自然豊かな景観がよみがえった。

◇長年の活動実り河川環境が改善

 クリーンアップ活動は毎年6月、河川管理者である県と、周辺事業所や地域住民の他、流域にある小学校児童が参加し、500人規模で川のごみ拾いや遊歩道整備を行っている。今年は3年ぶりに、流域小学校の児童が参加する。

 クリーンアップ活動の他、同会はこれまでに桜の植樹や保全、サケの稚魚放流、俳句吟行会、茶会などの催しを開き、環境美化活動を続けてきた。現在は会員305人、35事業所が活動に参加している。

 10年前から行っているサケの稚魚放流により、近年、青田川に戻ってくるサケの姿が確認されている。本城会長は「水質が改善され、サケが上ってこられる川になった。青田川を守らなきゃというふうに、市民の意識が変わってきたと感じる。30年の活動が認知されてきた」と実感を込める。

◇青田川を生かしにぎわいづくり

 一方で、河川改修や美化活動は一つの区切りを迎えたと感じている。本城会長は今後、青田川を生かした中心市街地の活性化に注力したいと構想を語る。

青田川を起点に、まちなかを回遊できるイベントを仕掛けていきたいと語る本城会長

 その一つが青田川をライトアップするイベント「青田川灯(あかり)ロード」だ。2020年に始めたイベントで、今年は8月20日に開かれる。

 同イベントは、750本のペットボトルと竹灯籠にろうそくをともし、会が事務局を置く南三世代交流プラザ(南本町3)裏の川沿いを彩る。今年はコンサートも企画し、現在、校区の南本町小と共に準備を進めている。

 本城会長は、いずれはこのイベントを、大手町、大町、東本町の3小学校を巻き込んだ、地域ぐるみのイベントにしたいと目標を掲げる。各校区を明かりでつなぎ、人の流れをまちなかに呼び込もうとする狙いだ。

 各学校と地域が協力し、高田の夏の風物詩として定着させれば、空洞化が進むまちの中に、にぎわいを生み出せると期待を込める。

 魚がすめなくなった川を生き返らせたい、という願いから始まった同会の活動。今後は青田川を生かした中心市街地の活性化と、次の世代へどう活動を継承していくかを課題に掲げる。

 本城会長は「これから先、さらに青田川の歴史、周辺の景観が守られて、まちづくりにつながっていくことを願ってやまない」と話し、そのためには「行政だけに頼らず、市民が連帯していくことが重要」と、言葉に力を込めた。

南三世代交流プラザから望む青田川沿いの景色。8月、750本のペットボトルや竹灯籠で川沿いを彩るライトアップイベントを計画している

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