参院選長崎 6新人、思い込め第一声 平和や暮らし巡る熱い論戦スタート

選挙カーで出発する候補者を見送る支持者ら=長崎市内

 ロシアのウクライナ侵攻を契機に安全保障政策の議論が活発化し、円安などによる物価高が国民生活に重くのしかかる中で、参院選が22日公示された。長崎選挙区(改選数1)に名乗りを上げた新人6人は長崎市内でそれぞれ第一声。平和や国防、暮らし、人口減少、子育てなど、国や地域が抱える課題を巡る18日間の論戦が始まった。

  ■山本候補 

 自民の山本啓介候補(47)は出島表門橋公園で出陣式。2月の知事選で分裂して戦った議員や支援団体は双方が顔を出し、党一丸を印象づけた。後援会長の金子原二郎農相が「候補者が先頭に立って命懸けで意気込みを示すことで支援者も奮い立つ」とハッパをかけると、壱岐出身の山本氏は「覚悟なら島を出た時にとうにできている。日本と長崎の発展のためこの大きな体をすべて使って命懸けで取り組むことを誓い、18日間精いっぱい走りたい」と熱っぽく語った。諫早市の出陣式には高市早苗党政調会長も駆けつけ演説した。

  ■山田候補 

 日本維新の会の山田真美候補(50)はプラタナス広場からスタートした。瀬戸郁子後援会長は、本県の厳しい財政を不安視し「長崎を変えるには(改革政党を掲げる)維新が必要」と強調。松井一郎代表からの「維新の精神を広めていこう」とのメッセージが読み上げられた。山田氏は「次世代に安易に負担を残してはいけない」と税金の使い方の見直しを主張。子どもを産み育てやすい環境づくりの推進を訴えつつ「働くお母さんの一人として、子育ての楽しさや幸せを社会に伝えることも大事な役割」と述べた。

  ■大熊候補 

 NHK党の大熊和人候補(52)は街頭演説などはせずに、インターネットを主軸に選挙活動をする方針。真っ赤なシャツ姿で県庁を訪れ、立候補の届け出を終えた後、会見した。NHKの構造改革も含めて「デジタル革命の世界潮流から乗り遅れた日本の状況を変えていく必要がある」と強調。本県でのデジタル経済特区推進政策を掲げ「かつて外交の中心だった出島の感覚を生かし、日本の経済を立て直す」と言葉に力を込めた。芸能プロダクション研究生時代に培った歌舞伎の長ぜりふも披露し、気合を入れた。

  ■安江候補 

 共産の安江綾子候補(45)は鉄橋で第一声。党県委員会の山下満昭委員長は「平和と暮らしの問題と同時に『カジノは駄目』『石木ダムは必要ない』と堂々と掲げるのは安江氏しかいない」とアピールした。安江氏はウクライナ侵攻を機に国内でも軍備増強が議論されている現状に対し「軍事で緊張をつくる先に平和は生まれるだろうか」と疑問視。信頼と対話による外交や、減税や賃金引き上げなどの経済対策を掲げ「みんなの暮らしを支える政治をさせて」と訴えた。その後、東彼川棚町の石木ダム建設予定地も訪れた。

  ■白川候補 

 立憲民主の白川鮎美候補(42)は魚の町公園で出陣式。集まった労働団体や国民民主、社民各党の関係者らを前に、山田朋子総合選対長は「皆さんの力で国民のための政治を取り戻せる」と感謝した。イメージカラーの黄色のシャツを着た白川氏は、核兵器禁止条約を批准しない政府を批判。消費税減税など暮らしを守る公約も挙げ、「働く人の流した汗が報われる社会をつくりたい。長崎から声を全力で届ける」と約3万4千票差で敗れた前回参院選の雪辱を誓った。「アユミ」コールを背に街宣に繰り出した。

  ■尾方候補 

 政治団体「参政党」の尾方綾子候補(47)は出島表門橋公園で出陣式に臨んだ。黒いスーツ姿で約20人の支援者と笑顔で握手を交わし、「若者たちの希望あふれる未来をつくるため立ち上がった。1人でも多くの方の魂を揺さぶっていく」と力強く決意を述べた。党長崎支部の松石宗平支部長は「まだ支部結成1カ月だが、政治経験のない私たちが何とか候補者を出せるよう、党員がボランティアで努力してくれた。あとは、ただ行動するのみ」とあいさつ。全員で「イチ、ニ、サンセイトウ」と気勢を上げた。

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