サル痘 「ヒトに適応の兆しあり」ゲノム解析で変異歴調査

 今年に入り欧米を中心に感染例が相次いでいる「サル痘」について、ポルトガルの感染者から採取したウイルスのゲノム解析の結果が論文で発表された。それによると、ヒトへ感染しづらいとされるこのウイルスも、感染を繰り返すことで変異が出てきており、今後ヒトからヒトへ感染しやすくなる可能性があるとしている。

2018年にアフリカで検出された株が起源と判明

 今回発表されたのは、先月27日までに主にポルトガルで確認されたサル痘患者15人から採取したウイルスをゲノム解析した結果。解析したウイルスのすべてが、2018年にアフリカのナイジェリアで検出されたウイルスと遺伝子配列が非常に似ており、起源である可能性が高いとした。

 また、サル痘ウイルスはこれまでの研究で変異が起きにくいとされていたが、今回の解析結果では、遺伝子配列において起源と思われる株から約50箇所変異していたという。論文では変化は遅いものの連続的に起きており、感染を繰り返す中でいずれヒトに適応していく可能性が示唆されたとしている。

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