古野選手 悔しさを挑戦の糧に 4年後のメダル目標 北京五輪出場 上越市で報告

 北京冬季オリンピック・フリースタイルスキー(スキークロス男子)日本代表の古野慧(さとし)選手(23、USEN―NEXTグループSC、上越教育大附属中―関根学園高―慶應義塾大出身)の出場報告会が28日昼と夜の2回、母校関根学園高などで行われた。全校生徒を前に「夢を持って挑戦すること」の大切さを説いた。

母校体育館に北京五輪の公式ユニホームを展示し、これまでの歩みや挑戦の心意気を語った古野選手

 同選手は幼い頃からアルペンスキーと自転車のBMXを競技し、高校からスキークロスに本格参戦。2度の膝の大けがを負いながらも、世界選手権などで実績を残し、ワールドカップでポイントをつかんで夢の五輪出場を手にした。
 講演では、高校1年で初めて出場した国際大会で「圧倒的な差を感じ、大きな挫折を味わった」ことや大けがを乗り越えたこと、「やっとの思いでつかんだ」オリンピックでスタート直後に転倒し「残酷な結果」に終わったことなどを紹介。そのたびに前を向いて挑み、「何度失敗しても自分の経験になる。後々で生きてくる。深く深く考えていろいろなことに挑戦する。今自分に何ができるか、やりたいかを考えて、目標に向かって一つ一つステップを踏んで頑張ってほしい」と、自身の経験を基に生徒にメッセージを贈った。

関係者が集まる中、夜の報告会に入場する古野選手

 ナショナルトレーニングセンター(東京)などでの徹底したウエートトレーニングにより、高校入学時に159センチ、55キロだった体は173センチ、83キロに大きくなった。ただ、海外の選手はもっと大きく、さらにフィジカルを強くしたいという。
 生徒会長の井部恵都君(3年)は「大きなけがや厳しい練習を乗り越えて、数々の結果を残してきた古野さんを誇りに思う」などと感謝の言葉を述べた。

◇母校や関係者 感謝と期待の声
 夜は上越妙高駅西口のJM―DAWNでオンラインによる報告会。会場には関根学園高スキー部員や中高時代に所属したライフケア神戸・妙高リージョンスポーツクラブ(MRSC)の関係者らが集まり、ネットで慶應義塾大スキー部をはじめ関係者をつないだ。約40人が参加した。
 関根学園高の渡邉隆理事長は「彼の真面目さとエネルギーの高さは素晴らしい。スキーが好きという思いをエネルギーに変えていた」、慶応義塾大スキー部の土居邦彰監督は「みんなに夢を与え、チームに大きな功績を残してくれて感謝しかない」、MRSCの藤井守之代表は「五輪出場は1万人に1人、メダリストは100万人に1人。次の五輪では100万人に1人の人材になると思っている」とそれぞれ期待の言葉を寄せた。
 同選手は4年後のオリンピックに向け、ターン技術とフィジカル、レースの駆け引きという課題と1年ごとのビジョンを示しながら、「4年後のメダル獲得が競技人生の一番の目標。自分のことを応援してくださる方を増やして、感動を届けたい。地域に貢献したい」と熱い思いを披露した。
 同校スキー部の芦野孝太部長(3年)は「スタートを強化するため自宅やスキー場に専用のコースを設けて練習し、すごいと思った。アルペンとスキークロスで違うけど、身近に目標になる選手がいるので頑張りたい」と刺激を受けた様子だった。

古野選手(前列中央)を囲んで記念撮影

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